2022 Fiscal Year Research-status Report
Changes in views of reproduction and fetus brought about by extended carrier testing. Comparison with prenatal diagnosis and preimplantation genetic diagnosis
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22K10468
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小川 昌宣 京都大学, 医学研究科, 特定准教授 (70416551)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 拡大保因者検査 / 胎児観 / 生殖観 / 生殖医療 |
Outline of Annual Research Achievements |
拡大保因者検査の実施状況について、医中誌、PubMedを用いた文献検索を行った。その結果、欧米においては多数の原著、総説が抽出されるのに対し、和文における原著は皆無である事が判明した(2022年中に総説が一編報告された)。学会報告についても、年間1報程度の報告しかなされておらず、この事案に関する研究はまだ活発ではない事が窺えた。一方、海外の文献に関しては、「拡大保因者検査(ECS: expanded carrier screeninng)」が様々な場面で用いられている事が窺われた。例えば、希少疾患が疑われる小児へのエクソーム解析も広い意味でECSに該当しうる。このことから、我が国における調査を行う際には、ECSについて、どのような場面での利用が想定され、どのように定義づけられるのか、を吟味する必要があると考えられた。 また診療の現場から、海外での生殖補助医療受療者のいく人かが遺伝性疾患のスクリーニング検査を受けていたことが判明した。具体的にはどこの会社のどのような検査が行われているのかは判明しなかった。十分な理解なく検査が行われている事が窺われ、実態を明らかにする事が必要と感じられた。このため、国内外の生殖補助医療施設でのECSやそれに類する検査の実施についての調査を研究内容として加えたい。 また、がんゲノム医療の現場では、従来のパネル検査に代わってエクソーム解析による疾患遺伝子解析が行われうる状況にある。このように遺伝子解析技術の進歩と低価格化からパネル検査からエクソームへの移行が急速に進んだ場合、その情報抽出のアルゴリズムを変更することでECSが容易く行われうる環境が整いつつある。研究対象が広がりを見せる中、研究体制を充実させる必要があると感じられた
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
課題応募後、義父、実父共に認知機能障害が進行し、それぞれに在宅介護、施設介護を余儀なくされた。共に2022年中に他界したが、特に実父においては肺炎による入退院と拒食による摂食困難への対応のため、家族として申請者自身が直接対応せざるを得ない状況であった。そのため研究遂行のためのまとまった時間を捻出することが困難となった。 研究遂行のための倫理審査申請のための書類作成が滞り、コロナ禍による倫理審査委員会の不定期開催と相まって、当該年度中の倫理審査を受けることができなかった。 また年度後半には異動が決まり、同時に実父が他界したため、研究活動が事実上停止してしまった。 上記のような状況であり、研究の遂行に十分な時間を割くことができなかったことが、本研究の遂行が遅れている事由である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究体制を見直すこととし、新たに二人の研究協力者を迎えた。それぞれ研究にあたって成人発症の遺伝性疾患に対する調査と、新たな着目点としてがんゲノム検査によって明らかとなる二次的所見からの保因者検査についての調査を分担することとした。 新たな研究機関では研究調査対象者を得ることに困難が予想されるため、対象者を旧所属機関で得ることができるよう、倫理審査については新たな研究組織で多機関共同研究として提出を準備中である。 また、診療の現場で得られた情報として、海外で生殖補助医療を受けた方のいく人かが遺伝性疾患のスクリーニング検査を受けていル事が判明した。どのような検査が行われているのか、また国内の生殖補助医療施設で同様の検査が行われていないか、についてを研究内容として加える予定である。
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Causes of Carryover |
研究遂行の遅れにより、計画していた調査が実施できなかったこと、予定していた学会参加ができなかったことが大きな要因としてある。 また、事務担当者の理解するところで、講師謝礼の支出が「不可能である」とされたことも理由として挙げられる。 今年度は遅滞要因がなくなり、コロナ禍も終息しつつあることから、予定通りの研究の遂行とそれに伴う予算消費を見込んでいる。
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