2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of chemoprevention of cancer by drug repurposing with the macrolides
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22K10490
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
曽和 義広 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任教授 (70315935)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武藤 倫弘 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30392335)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | RB / マクロライド / ドラッグ・リパーパシング / タンパク質合成阻害 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者が以前実施した基盤研究(C)「RBファミリー増強による新規がん予防法の開発」において、RBが遺伝的に変異したがん細胞を用いて、RB非依存的ながん細胞増殖抑制化合物のスクリーニングを実施したところ、マクロライド化合物A(以下、化合物A)がヒットした。化合物Aの抗腫瘍効果は新規の知見であり、また、この化合物Aの構造の類似したマクロライド化合物A+(以下、化合物A+)は医薬品として既に認可されている点から、本研究では、化合物A+による既存医薬品を用いたドラッグ・リパーパシングによるがんの化学予防も視野に入れた「橋渡し研究」を目指す。 まず、RB非依存的ながん細胞増殖抑制化合物のスクリーニングで化合物Aが得られたことから、化合物Aの構造に類似した化合物A+の作用も同様に検証したところ、化合物Aと同じくRB非依存的にG1期停止を誘導する作用を有することを確認した。 そこでまず「化合物A及び化合物A+の既知生理活性と抗腫瘍効果の作用の比較」を実施した。化合物A及び化合物A+は感染症薬/抗生物質として働き、その作用はタンパク質合成の阻害であることが知られているので、これら化合物A及び化合物A+に共通した既知の生理活性である“タンパク質合成阻害”が、RB非依存的G1期停止誘導能に寄与するかを検討した。 化合物A及び化合物A+とは構造の異なる“タンパク質合成阻害”を有する化合物では、RB非依存的G1期停止誘導能を示さなかったことから、化合物A及び化合物A+の示すRB非依存的G1期停止誘導能は、単に“タンパク質合成阻害”に依るものではないと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
タンパク質合成阻害により“がん細胞増殖抑制”が生じてしまうため、化合物A及び化合物A+に特徴的な作用である“RB非依存的G1期停止誘導”との区別に手間取ってしまった。 また、化合物A及び化合物A+処理条件(濃度、時間等)を最適化することに時間がかかってしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
化合物A及び化合物A+の示すRB非依存的G1期停止誘導能は、単に既知の“タンパク質合成阻害”に依るものではなかったことから、両者に特有の未知の作用機構の存在が推測された。化合物A及び化合物A+の化合物に特徴的なRB非依存的なG1期停止誘導能を示す詳細な分子機構を解析する。
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Causes of Carryover |
【現在までの進捗状況】“やや遅れている”の理由の項に記載したように、最適化条件の検討や対照化合物との比較検討が研究の主となり、両者とも比較的単純な繰り返し作業のため、想定よりも消耗品の購入を行わなかったためと考えられる。 【今後の研究の推進方策】に記載したように、令和5年度からは未知の作用機構の検討のため、多様な消耗品の購入や情報収集が必要になると考えられる。
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