2023 Fiscal Year Research-status Report
ヒトiPS細胞由来オルガノイドを用いたフルクトースによる疾患形成メカニズムの解明
Project/Area Number |
22K10494
|
Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
宗綱 栄二 麻布大学, 獣医学部, 准教授 (30600431)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | オルガノイド / フルクトース / 栄養 |
Outline of Annual Research Achievements |
フルクトースは天然甘味料として清涼飲料水や加工食品に広く使用されている。ここ数十年で消費量は飛躍的に増加し、代謝疾患の発症要因になることが指摘さ れている。しかし、その詳細な分子機構については不明な点が多く、予防や治療の観点から解明が強く求められている。 近年、栄養因子による疾患発症の分子機構として,塩基配列の変化によらないエピゲノム変化(DNAメチル化やヒストン修飾など)の関与が注目されている。申 請者もフルクトースの悪影響について、エピゲノムの視点からアプローチしてきた。そして、肝臓における代謝異常について、脂肪酸異化作用を担う遺伝子に DNAメチル化異常を報告してきた。 しかし、これら結果は、フルクトース暴露により病気になった組織での解析であり、病気が起きた結果を見ているにすぎない。つまり、病気を形成していく過程 において、DNAのメチル化の役割は不明である。正しく発症の分子機構を解明するには、病気になってから組織を研究するのではなく、正常な組織が変化してい くメカニズムを研究する必要がある。そこで本研究ではオルガノイドを用いる。 2023年度は、昨年度の研究で課題となっていたオルガノイド形成の安定性が向上した。この改善により、より一貫した実験結果を得ることが可能となった。そしてオルガノイドを用いて、フルクトースが脂質代謝遺伝子に与える影響を詳細に解析した。実験では、フルクトースをオルガノイドに添加し、一定期間後に遺伝子発現を観察した。特に、脂質代謝に関連する遺伝子群に注目した。今後は、エピゲノム異常を中心に解析する予定である。そして、これらの発見を基にさらなるメカニズムの解明を進め、フルクトースによる代謝疾患の予防や治療に向けた新たなアプローチの開発を目指す。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度の課題が克服され安定して結果が得られるようになっている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、エピゲノムの変化に焦点を当てた解析を中心に進める予定である。特に、DNAメチル化の動態を詳細に調べることで、フルクトースが代謝疾患を引き起こす具体的なメカニズムを解明することを目指す。このアプローチにより、フルクトース摂取による健康影響をより深く理解し、効果的な予防策や治療法の開発に繋げていきたいと考えている。
|
Causes of Carryover |
若干の研究進行の遅れにより、試薬の発注が遅れているため、次年度に使用額が繰り越されることとなった。これに伴い、次年度の計画では、遅延していた実験を円滑に進めるために必要な試薬の購入を最優先とし、迅速に研究を再開する予定である。また、進行中の研究を支えるための追加の試薬や消耗品の購入も予定しており、研究の効率化と成果の最大化を図る計画である。
|
Research Products
(1 results)