2023 Fiscal Year Research-status Report
The importance of malaria in the hygiene hypothesis: the suppressive effects of Plasmodium infection against immune disorders
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22K10498
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
清水 少一 産業医科大学, 医学部, 講師 (10892804)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | マラリア / コラーゲン誘導関節炎 / 関節リウマチ |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度の研究で、ネズミマラリア原虫Plasmodium yoelii 17X(Py)感染マウスにおいて、関節リウマチの動物モデルであるコラーゲン関節炎(CIA)の発症がIL-10KOマウスでも抑制されることが明らかとなった。 当年度は、実験条件の検討と免疫学的機構の解析を行った。IL-10KOマウスにコラーゲンを免疫して1週間後にPy感染をさせることで再現よくCIAの抑制を観察できた。感染群と対照群で関節炎の差があきらかな免疫3週間後にサンプリングを行い、脾細胞のT細胞由来のサイトカインを測定した所、関節炎促進性サイトカイン(IL-17, TNF-a)の産生抑制とともに関節炎抑制性サイトカイン(IFN-g, IL-4, IL-27)の産生抑制が観察された。これらの変動は野生型マウスで観察された結果と一致した。一方、血清中の抗コラーゲンIgG抗体はIgG, IgG1, IgG2aすべてで感染群と対照群で有意な差を認めなかった。このことからサイトカインの抑制についてはIL-10が不要であり、自己抗体の抑制にはIL-10が必要と考えられ、PyによるCIA抑制には複数の経路が介在している可能性が考えられた。 これまでの結果を各学会で報告した。また論文についても準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CIAについては、IL-10KOマウスの飼育がうまくいかない時期もあり、一時的に遅れたものの、発表可能な結果を蓄積できており、概ね進捗は良好である。 一方、喘息モデルについては、前年度判明した病理組織像の変化を裏付ける実験条件を検討しており、若干の遅延が見られる。 総合して、おおむね順調な進展と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
CIAについては、蓄積したデータの論文報告を準備しつつ、T細胞以外の因子について解析やIFN-gKOマウスを用いた実験を計画し、PyによるCIA抑制機構の解明を目指す。
喘息モデルについては実験条件の検討を進め、免疫学的な裏付けとともに研究発表を行う方針とする。
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Causes of Carryover |
円安の影響を懸念して試薬や消耗品の購入を意図的に絞ったことが主因である。 また初年度にコロナ禍の影響で海外学会に参加できず支出額が少なかった影響が残った。 次年度については研究成果の発表機会(海外学会、論文)が増える見込みである。
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