2022 Fiscal Year Research-status Report
NAFLDモデルに対するCYP1A誘導物質及び代謝性疾患治療薬の複合曝露影響
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22K10516
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
杠 智博 摂南大学, 薬学部, 助教 (10783011)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | CYP1A / 非アルコール性脂肪肝疾患 / ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤 / 複合曝露 |
Outline of Annual Research Achievements |
非アルコール性脂肪肝疾患 (NAFLD) の罹患者数は世界中で約25%に上るものの、日米欧で承認された治療薬はまだなく、合併する代謝性疾患に対する薬物、食事及び運動療法を行っているのが現状である。一方、NAFLDの発症及び増悪に生活環境中の化学物質 (生活関連物質) の曝露が関与することが報告されている。従来、生活関連物質の生体毒性は単一の物質ごとに評価されてきた。しかし、環境化学物質、食品添加物、医薬品等、日々多様な化学物質に曝露される現代においては、それらが生体内で作用しあい、相加・相乗的に毒性を増大することが考えられる。本研究課題では、酸化ストレスの誘導等の様々な生体反応に関与するCYP1Aに着目し、複数の生活関連物質の複合曝露がCYP1A誘導作用、及びNAFLDにおける酸化ストレス、炎症、脂肪蓄積並びに線維化等に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。 令和4年度は、CYP1A誘導作用を有する生活関連物質としてベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤 (BUVSs) とNAFLDの治療薬候補とされているPPARα活性化剤について検討した。ラット肝癌細胞株H-4-II-Eを用いて数種類のBUVSsのCYP1A誘導作用を評価した結果、いずれの物質もコントロールと比較してCYP1A1遺伝子発現量を増加させ、ROS活性を増大させた。次に、BUVSsとPPARα活性化剤を同時曝露させ同様の検討を行った結果、CYP1A1遺伝子発現量及びROS活性は単一曝露と比較して相乗的に増大した。しかし、CYP1A1遺伝子発現量の変動と比較してROS活性の変動は小さく、CYP1AがROS活性に及ぼす影響は限定的であると推察された。以上より、日常的に曝露しうる生活関連物質の複合曝露がCYP1A及びROS活性を変動させ、生体毒性影響を現す可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和4年度は、生活関連物質のうちベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤とPPARα活性化剤のCYP1A誘導作用及びROS活性作用を検討し、複合曝露により相乗作用を現すことを明らかにした。また、脂肪肝モデルに対する複合曝露影響についても検討を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度は、当初の計画通りベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤とPPARα活性化剤の複合曝露を中心に、脂肪肝及び線維症モデルに対する複合曝露影響についての検討を実施する。また、他の生活関連物質についても検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
当初計上した予算より消耗品等の支出を抑えることができたため。残額は次年度の助成金と併せて当該年度の研究計画に基づき使用し、研究のスピードアップ及び検討内容の充実化を図り、本研究課題を推進する。
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Research Products
(1 results)