2022 Fiscal Year Research-status Report
女性労働者における安全で快適な呼吸用保護具の開発に関する労働衛生学的基礎研究
Project/Area Number |
22K10540
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Research Institution | Osaka Aoyama University |
Principal Investigator |
相羽 洋子 大阪青山大学, 健康科学部, 教授 (30783691)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森岡 郁晴 和歌山県立医科大学, 保健看護学部, 教授 (70264877)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 呼吸用保護具 / 女性労働者 / フィットテスト / 漏れ率 / 労働衛生 |
Outline of Annual Research Achievements |
製造業等で使用が法令で義務付けられている呼吸用保護具は、男性が着用することが前提とされているものが主流で、女性の着用を前提としたものは少ない。そのため、女性労働者は男性と同じもの、あるいは小さいサイズのものを着用しており、女性労働者における労働衛生学的対策は進んでいない。本研究は、女性労働者が有害物質を吸引することによる健康障害を防止するだけでなく、快適に作業を行うことができる呼吸用保護具の基礎的な知見を得ることを目的とするものである。2022年度は以下の研究課題を遂行した。 1. 呼吸用保護具を装着することによる問題点について論じている先行研究のレビュー:男女とも、呼吸用保護具を装着することによる息苦しさや、汗をかくことで保護具が濡れてしまう不快感や呼吸のしづらさを挙げていた。女性労働者では、顔に対して呼吸用保護具が大きいため漏れ率が高いという問題点が指摘されていた。 2. 使用している呼吸用保護具に関するアンケート調査:女性労働者19名を対象に、日常使用している呼吸用保護具の使用状況や使用感についてアンケート調査を実施した。4名が日常使用している呼吸用保護具は顔に合ってないと回答し、その理由は、呼吸用保護具が大きいあるいは鼻の部分との間に隙間がある等であった。17名が呼吸用保護具を着用していて不快と思うと回答し、その理由は、汗をかいて保護具内が濡れる等であった。 3. 使用している呼吸用保護具のフィットテスト:顔との密着性の良否を確認するために、JIS T 8150:2021に規定されている方法に基づいてフィットテストを行った。総合的なフィットファクタは、11名の作業者が不合格であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
総務省統計局の労働力調査によると、製造業等の有害物質を取り扱う現場で作業する女性労働者は増加していると報告されている。しかし、2022年度で調査を依頼した事業場では、有害物質を取り扱う作業は男性に限られていること、女性は不織布のマスク着用で良い作業に限られていることなどの理由で、実際に有害物質にばく露する作業に従事している女性労働者は予想より大幅に少なかった。さらに、コロナ禍の影響もあり、調査可能な事業場が少なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
アンケート調査、フィットテストを継続するとともに、研究計画に則り、女性の顔に合った呼吸用保護具の試作、試作した呼吸用保護具の安全性と快適性の検証を遂行していく。
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Causes of Carryover |
調査旅費と学会参加費、調査協力者への謝金、顔の造形外注費と呼吸用保護具試作外注費等に予算を使用する計画である。
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