2023 Fiscal Year Research-status Report
ウェアラブルデバイスを用いた林業作業員の作業の識別と疲労度の客観的評価手法の開発
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22K10580
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
小田切 圭一 浜松医科大学, 医学部附属病院, 准教授 (70529213)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 重樹 静岡県農林技術研究所, 静岡県農林技術研究所, 上席研究員 (10502578) [Withdrawn]
山口 亮 静岡県農林技術研究所, 静岡県農林技術研究所, 上席研究員 (00502577)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 酸化ストレスマーカー / 林業作業従事者 / 心拍変動 / 作業分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は臨床研究を実施し、以下の2項目のデータの取得と解析を完了した。 1)林業における身体的・精神的疲労度測定 林業従事者18名に対して、作業中の脈拍数、作業前後の体重・体水分量の変化、自覚的疲労度(VAS)の測定と、酸化ストレスの測定を実施した。脈拍数は86.8bpm→107.3bpmへ増加した。体重は0.5kg減、体水分量は0.7kg増加を認めたが生理的変動範囲で合った。VASは13.7mm→61.8㎜へ増加した。酸化ストレス指標であるd-ROMsは319.9U.CARR.→352.7U.CARR.、BAPは2307μmol/L→3465μmol/Lへ増加した。また、酸化ストレス指標の変化量とそのほかの指標の変化量に相関関係は認められなかった。本結果は、共同研究期間(静岡県)の山口が第13回中部森林学会大会でポスター発表した。また今年5月に開催される第97回産業衛生学会に口述手採択されており、小田切が発表予定である。また、論文投稿を計画しており、ドラフト版の作成は完了している。また2名の研究対象者において、対象データの取得の目的で非作業時の酸化ストレスの測定を実施した。 2)AIを用いて林業作業中の手首の3軸加速度/角速度と作業音のデータによる作業識別を行った。センサーデータの加速度による作業識別では79.1%の正解率を得た。作業音による識別では、82.7%の正解率を得た。加速度と音の両方を組み合わせた統合モデルでは、82.9%の正解率を達成した。統合モデルでは、他の作業者の作業音が混入する環境での識別においても優れた性能を示した。個別の作業ごとでの式別では、加速度のみを用いた下刈作業では92.1%の正解率を、音のみを用いた場合は95.0%を達成し、統合モデルでも同様の精度を維持した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、臨床研究の実施は令和6年に完了する予定であったが、研究参加を依頼した林業事業体が非常に好意的であり、積極的に研究の参加して下さったため、研究対象者のエントリーや、実施が非常にスムースであった。また、夏季は比較的好天に恵まれたため、林業作業現場での研究実施が想定よりも容易に実施できたことがあげられる。また、AIを用いた作業分析についても、研究協力者であるBIPROGY株式会社(旧日本ユニシス株式会社)の山崎を中心に、スピード感をもって進めることで当初の想定よりも良好な進捗となった。
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Strategy for Future Research Activity |
上述のように、すでに予定されたデータ収集は完了し、解析も完了している。5月に開催される日本産業衛生学会での口述発表を行い、並行して論文の投稿を行い、令和6年度内の採択を目指している。
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Causes of Carryover |
調書作成時に計画した臨床研究では、各季節ごとに同一研究対象者で複数回の測定を行う事としていたが、配分された予算で範囲での実施は困難であった。そのため当初計画を変更し、暑熱環境で身体的負荷が多いことが見込まれる夏季のみでの実施となったため、測定試薬の購入や、研究対象者への謝金の支払いが少なかった。また、研究を実施した森林は、近隣の事業体が協力してくださったことから、高速道路の利用をすることがなかったため費用が少なく済んだ。このように消耗品、謝金、交通費の減少が次年度使用額が発生した理由である。次年度使用額については、論文校正費用、論文投稿・採択費用などに利用する予定である。
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