2023 Fiscal Year Research-status Report
飲酒と胃がん罹患リスクの関連:飲酒を規定する遺伝要因を考慮した大規模コホート研究
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22K10581
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
田村 高志 名古屋大学, 医学系研究科, 講師 (70736248)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 飲酒 / 胃がん / コホート研究 / 分子疫学 / 栄養疫学 |
Outline of Annual Research Achievements |
飲酒はがんのリスクとされているが、「飲酒と胃がん」の知見は一致しておらず、また飲酒習慣を規定する遺伝要因(アルコール感受性遺伝要因)を考慮して本関連を評価したコホート研究のエビデンスはほとんどない。アルコール感受性遺伝要因は日本人を含む東アジア人に広く分布し、東アジア人での飲酒による発がんリスクを高める可能性がある一方で、飲酒習慣や飲酒量そのものを抑制して発がんリスクを間接的に弱める効果も示唆されており、飲酒量評価に優れたコホート研究による本関連の解明が期待されている。そこで本研究では、大規模ゲノムコホート研究のデータを用いて、アルコール感受性遺伝要因を考慮したうえで飲酒と胃がんとの関連を評価し、本関連におけるメカニズムや遺伝要因の役割を提示する。
研究対象者は日本多施設共同コーホート研究(J-MICC Study: the Japan Multi-Institutional Collaborative Cohort Study)の参加者(35-69歳の男女、健常人)で、がん罹患追跡調査を実施している約78,000名である。
本年度はゲノムデータを有する対象者約14,500名について、アルコール感受性遺伝要因であるaldehyde dehydrogenase 2(ALDH2, rs671)、alcohol dehydrogenase 1B(ADH1B, rs1229984)、alcohol dehydrogenase 1C(ADH1C, rs698)の3遺伝子多型データを抽出した。また一部の対象者において、血清ピロリ菌抗体価および血清ぺプシノーゲンI/Ⅱ値の測定を開始した。研究対象者のアルコール感受性遺伝要因、ピロリ菌の感染状況、慢性萎縮性胃炎の有無を考慮したうえで、性・年齢をマッチさせたコホート内症例対照研究が実施できるように研究を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究対象者の血清ピロリ菌抗体価および血清ぺプシノーゲンI/Ⅱ値の測定に時間を要しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究対象者の飲酒量、アルコール感受性遺伝要因データ、血清ピロリ菌抗体価、血清ぺプシノーゲンI/Ⅱ値、胃がん罹患データ、生活習慣データを結合した分析用データセットを構築し、性・年齢をマッチさせたコホート内症例対照研究を行う。
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Causes of Carryover |
(理由)物品購入費およびバイオマーカー測定費が抑えられたため。 (使用計画)次年度の物品購入費用等に充当する。
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