2022 Fiscal Year Research-status Report
メタボローム解析を用いた細胞老化を伴う毒性機序の解析と新規細胞老化マーカーの探索
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22K10605
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
船越 丈司 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (40444715)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上村 公一 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (30244586)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | メタボロミクス / 細胞毒性 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の研究成果に関しては、摂取すると腎症を引き起こす植物アルカロイドであるアリストロキア酸による腎近位尿細管細胞における細胞障害を細胞老化モデルとして、メタボローム解析による細胞障害マーカーの探索を行った。その結果、これまでの関連論文での報告にあったアリストロキア酸は、腎近位尿細管細胞において、顕著な炎症反応を誘発すること、高濃度アリストロキア酸暴露によりアポトーシスを誘導すること、DNA障害を誘発することが確認されたことに加え、新たにアラキドン酸カスケードが誘導され、脂質メディエーターであるプロスタグランジンE2の産生が、急性腎近位尿細管細胞障害において重要であることをメタボローム解析により明らかにした。この結果は、これまで明らかにされていなかった、アリストロキア腎症において、高濃度急性毒性においては、DNA障害よりも脂質メディエーターを介した炎症反応が重要であることを新たに明らかにしており、メタボローム解析による障害マーカー探索が有用であることが示唆された。その一方で、誘導されたDNA障害の細胞障害への関与は明らかにしきれていないこと、プロスタグランジン類でもプロスタグランジンE2以外の脂質メディエーターの関与がどの程度かなど、明らかにしきれていない部分もあり、今後さらなる検討により明らかにしていく必要があると考えている。また他の細胞老化誘導薬剤で同様の結果が得られるのかどうか、薬剤間、組織間の比較が必要であると思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の結果は、論文投稿され(Toxicol Lett. 2023 Apr 1;378:39-50. doi: 10.1016/j.toxlet.2023.02.009. )、次の細胞障害をテーマに着手している。来年度には、他の細胞老化モデルとの比較を検討しており、当初の計画と大きな乖離無く進んでいると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、計画されていた別の薬剤によって誘導される細胞老化と、これまでの細胞老化モデルとのメタボローム解析結果の比較を行い、新たな細胞老化マーカーの探索を行う予定である。その結果、誘導薬物の違いによる特異的なマーカーと普遍的なマーカーを明らかにすることで、組織間、薬物間の相違について明らかにしていくことを計画している。そのために、由来細胞種の拡充、細胞老化誘導薬剤の探索、メタボローム解析技術の拡充を進める予定である。
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Causes of Carryover |
当初計画していた、学会参加を都合により取りやめたため、その費用分を次年度使用とした。
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