2023 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of the cardiotoxic mechanism in rats after cocaine administration and the effect of carbon monoxide
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22K10606
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
鵜沼 香奈 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 准教授 (30586425)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | コカイン / 心臓突然死 / 収縮帯壊死 / 法医学 |
Outline of Annual Research Achievements |
コカインは麻薬及び向精神薬取締法における麻薬であり、とりわけ強い精神依存性を有することが知られている。ヒトでの摂取方法は経鼻的に吸引する方法が一般的であるが、静注や経口投与も知られている。近年、日本を含め世界的にコカイン乱用者数・製造量は共に増加しており、死亡者数も増加している。コカインの過剰摂取は、不整脈、心筋梗塞などの重篤な心血管障害を誘導し、重症例では心臓突然死を生起することがあることが分かって いる。しかしながら、コカインの心毒性機序と突然死メカニズムの解明は十分されていない。私は昨年度までにラットにコカインを20 mg/kg/dayを14日間尾静脈から投与したコカイン濫用モデルラットにおいて、過酸化脂質増加、広範囲の収縮帯壊死(Contraction Band Necrosis:CBN)、局所の心筋炎、心筋線維組織の軽度増加などの所見が認められることをを明らかにし報告した。当初期待していた結果とは異なり、一酸化炭素放出分子であるCORM(carbon monoxide-releasing molecule)は、コカイン濫用モデルによるこれらの組織学的な臓器毒性の改善に明らかな影響を認めなかった。一方で、心保護という観点からは、コカイン投与後の心筋でアポトーシスの増加、アディポネクチン濃度の上昇が観察されたことから、アディポネクチンがコカインの心毒性において保護的な役割を果たす可能性を示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた動物実験は完了し解析も終了し成果報告した。当初はコカイン誘発性心毒性の一酸化炭素の保護効果を検討す る予定であったが効果が乏しかったため、今後はコカイン誘導性の臓器毒性について、他の臓器を使って検討を進めていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度までに査読付国際英文雑誌および日本国内の学会にて成果報告を行なった。2024年度は新たに心臓以外の臓器のコカイン誘発性心毒性において保護的な役割を果たす可能性について詳細な検討を行っていきたい。
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