2022 Fiscal Year Research-status Report
法医剖検例における直接的肺傷害重症度評価のための病理病態分析
Project/Area Number |
22K10607
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
道上 知美 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 教授 (00529240)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 法医学 / 法医病理学 / 肺傷害 |
Outline of Annual Research Achievements |
溺水吸引・誤嚥や火炎等による気道を介した直接的肺傷害について、傷害の原因や発生後経過時間による病理病態的相違を、病理組織学・血液生化学および分子生物学的手法を用いて総合的に評価する指標を構築するために、剖検例から採取した肺組織について、病理組織学的手法を用いて肺傷害マーカーの発現および分布を観察した。死後早期(72時間以内)の溺死、気道閉塞による窒息死、火災死、急性心臓死(対照例)の症例の剖検時採取した肺組織のホルマリン固定・パラフィン包埋組織に対して、肺傷害マーカーであるReceptor for advanced glycation end products (RAGE)、Suppression of tumorigenicity-2 (ST-2)、Interleukin 33 (IL-33)、Club cell protein (CC-16)に対する免疫染色を行った。その結果、いずれのマーカーにおいても、死後経過時間による影響は認められず、溺死例で気管上皮細胞に陽性像が比較的多くみられる傾向がみられた。また、火災死例ではCC-16、RAGEの陽性像が多くみられる傾向がみられた。従って、上記の傾向については症例数を増やして検討する必要があるものの、肺傷害の種類によって肺傷害マーカーの発現が異なる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
剖検症例の各種肺傷害マーカーの血液中および気管内液中の濃度を測定する血液・生化学的手法および肺組織中における各種肺傷害マーカーのmRNA発現に関する分子生物学的手法については、現在研究中であるが評価できる段階には至っていない。研究を継続する。
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Strategy for Future Research Activity |
現在検討している死因群の症例数を増やして再評価する。また、頸部圧迫による窒息、肺挫傷などの外因死例、脳血管障害、肺炎などの内因死例についても同様に研究する。死因(肺傷害の種類)、推定生存時間、肺の剖検所見(肺重量、一般病理組織所見など)と各種肺傷害マーカー(SP-A・SP-D、RAGE、ST-2、IL-33、CC-16)の発現・分布との関連について、病理組織学、生化学および分子生物学的手法を組み合わせた総合的な評価を行う。
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