2023 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of kinematics of the victim fallen from height with computer aided engineering
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22K10609
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
一杉 正仁 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (90328352)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
槇 徹雄 東京都市大学, 理工学部, 教授 (20465363) [Withdrawn]
櫻井 俊彰 東京都市大学, 理工学部, 准教授 (80610047)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 転倒 / 転落 / コンピューターシミュレーションモデル / 頸椎損傷 / 頸髄損傷 / 死亡 / 剖検 |
Outline of Annual Research Achievements |
転倒・転落による損傷に基づき、転落直前の姿勢や転落時の挙動を明らかにすることが目的である。特に、転倒・転落によって生じる頸椎・頸髄損傷は生前の診断が困難なことが多く、剖検ではじめて明らかになることが多い。そこで、シミュレーションモデルによる再現で重要な要因を明らかにすべく、剖検例をもとに、頸椎・頸髄損傷発生に影響を及ぼす因子を明らかにした。2010年から2023年3月に滋賀医科大学で行われた転倒・転落死剖検例81例をもとに、転落時の状況、死者の特徴などから、多変量解析によって頸椎・頸髄損傷発生に影響する因子を明らかにした。その結果、頸椎・頸髄損傷発生には体重が、重症損傷発生には転落高さが独立して影響する因子と分かった。次に、昨年度に作製した人体シミュレーションモデルを用いて、高さ 2 m からコンクリート面に落下する状況を再現した。まず、頭頂部から転落する状況では、接地後約3msで頸椎全体に圧縮力が作用し、7~8.5kNの荷重が認められた。その後、接地後約30msで全身の体重がかかることによって、さらに第1頸椎に10kN以上の荷重が確認された。昨年までの検討では、頸部の状態、すなわち頭部と体幹がなす角度によって頸部の圧縮荷重に大きな変化が生じることがわかった。そこで、頸部の側屈角度と屈曲角度を変化させてシミュレーションを行い、第1頸椎に作用する頸部圧縮荷重を算出した。その結果、側屈角度 0度では屈曲角度15度で最大荷重の約12kNが、側屈角度10度では屈曲角度10度、15度、25度付近で最大荷重の約9kNが確認された。損傷された頸椎が明らかになれば、シミュレーションによって、頭部と全身のなす角度が推定できることがわかった。さらに接地時に考えられる姿勢をもとに、転落時の姿勢を推定できると考えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の目的は転落時に生じた損傷をもとに、傷害バイオメカニクスの知見を駆使して転落直前の姿勢と転落時の挙動を解明することである。生じ得る損傷は様々であるが、特に生前に評価が困難で、かつ剖検によって明らかにできる頸椎・頸髄損傷に注目した。前年度に作製したコンピューターシミュレーションモデルによって、生じた損傷をもとに接地時における頭部と体幹の位置関係(頸部の屈曲角度、側屈角度)を明らかにできることが分かった。本来であれば、転落時の姿勢も明らかにするはずであったが、シミュレーションの実施において、条件設定等に苦慮したため、転落前の姿勢を明らかにするところまでは到達できなかった。しかし、さまざまな条件をもとに、品質工学の手法を用いて作業を行うことは理解しているので、来年度に作業を進められる目途は立っている。したがって、当初の目的よりやや遅れていると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
接地時の姿勢や生じた損傷をもとに、シミュレーションモデルを用いて転落直前の姿勢を推定する作業を行う。頸椎・頸髄損傷のみならず、胸部損傷をもとに、剖検によって得られた損傷から、転落挙動を推定する方法を標準化する。本年度の検討で、転落者の体重や転落高さも、損傷発生や重症度に影響を及ぼすことがわかった。したがって、シミュレーションモデルは対象者の身長や体重をもとに、適宜スケーリングできるようにする。また、様々な高さでシミュレーションする必要があるが、それぞれの高さにおいて、実例をもとにバリデーションすることが求められる。したがって、バリデーションできた高さにおいて実用化できるようにする。最終的には、剖検例をもとに転落時の状況を明らかにすべく、法医実務に応用できるツールを作製していきたい。
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Causes of Carryover |
前記のように、転落時の状況や剖検所見から、転落直前の姿勢を明らかにする工学的検討において、予定通りに進めることができなかった。共同研究者の施設では、本年度の共同研究者である槇教授が定年退職する年であり、大学院生の卒業及び修士論文作成指導に予想以上の時間が費やされたこと、計画していたシミュレーションの条件設定に対して様々な議論があり、結論を得るのに時間が費やされたことなどが原因であった。これに付随して、シミュレーションに関係した費用や成果公表に関する費用を繰り越すこととなった。しかし、次年度に有効に使用する計画はできている。
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Research Products
(6 results)