2023 Fiscal Year Research-status Report
老人保健施設における看護師の理念および看護技術教育実践プログラムの開発
Project/Area Number |
22K10625
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
菊地 史子 東北大学, 医学系研究科, 大学院非常勤講師 (30292353)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
五十嵐 尚子 信州大学, 学術研究院保健学系, 助教 (40910138)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | 老人保健施設 / 超高齢社会 / 看護師の看護理念 / 基本的看護技術チェック / 看護技術教育実践プログラム / 職種連携 / 地域比較 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、老人保健施設(以下、老健)における看護師の看護技術の現状に焦点を当て、高齢者の安全な生活を担保すべく、基本的看護技術チェックリストの開発を含む「看護技術教育実践プログラム」を開発することを目的としている。令和4年度から研究対象施設を仙台市を中心に、周辺市町村:泉市、多賀城市、塩竈市、利府町、七ヶ浜町、大郷町の4市3町の老健を予定していた。しかし、令和4年5月頃より、コロナ感染症パンデミック:オミクロン株による蔓延傾向が著明になったため、研究協力依頼時点で各施設から現時点での調査説明を受けることは困難との回答を得ることとなった。計画当初から懸念していたコロナ感染症蔓延は、令和4年7月から令和5年1月に第8波でピークを迎え、特に高齢者施設において著明となった。こうした経緯により、計画当初からコロナ感染症の影響については懸念していたものの、実際、研究の進捗状況に遅れが生じている。令和5年1月のピーク時以降は感染蔓延傾向も徐々に緩和され、感染症分類も5類へと移行したものの、高齢者施設は外部他者介入への警戒態勢は未だ厳しい現状にある。さらに感染症蔓延期間の4年間は、施設に従事する看護師の退職や他施設異動など人的な動きも著明となった。令和5年度より信州大学学術研究院医学保健学領域に研究協力が得られ、Web会議3回、対面検討会議も1回実施した。しかし上記の理由により、仙台市周辺地域老健と 松本市安曇野市周辺地域老健における現状も同時調査実施計画に大きく影響したため、実地調査がかなり遅れている。 今後、調査は遅れてはいるものの、東北地区都心部と高齢者が多いと予想される松本市周辺地区老健の現状比較調査実施により、各老健に勤務する看護師の意識や技術の相違も同時検討が可能となり、基本的看護技術チェックリスト開発を含む「看護技術教育実践プログラム」開発が可能になると考える。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初の研究計画である、老健における看護師の看護理念および実施されている基本的看護技術に関する現状については、文献検討は継続して進めることが出来ている。しかし、研究目標1の老健に在職している看護師・准看護師へのインタビューにより抽出した、看護師による看護理念と基本的看護技術の実際を作成するには至っていない。 その理由として、研究計画当初から懸念していたコロナ感染症蔓延は、令和4年7月から令和5年1月に第8波のピークを迎え、特に高齢者施設において著明となった。この経緯により、計画当初からコロナ感染症の影響については懸念していたものの、実際、研究の進捗状況にかなりの遅れが生じることとなった。令和5年1月のピーク時以降は感染症蔓延傾向も徐々に緩和され、感染症分類も5類へと移行したものの、高齢者施設は他者介入に対する警戒態勢は未だ厳しい現状にある。さらに感染症蔓延期間の4年間は、各施設に従事する看護師の退職や他施設異動など人的な動きも著明であったことも研究遅延に影響していた。 今後もコロナ感染症の影響は否めないため、仙台市周辺地区および信州大学の協力のもと、松本市周辺地区調査についても、新たな対象施設を拡大していく方向で実施していかねばならない。これについては感染症伝播の傾向と地域分散時期について常時現状把握を行うこと。さらに対象施設の理解をも把握した上で、調査実施の対策としていきたい。同時に地域格差の観点からも、これらの検証が可能になることが期待できる。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和5年3月頃より、全国的にコロナ感染症罹患者数も減少傾向を認め、同時に各老健や高齢者施設においても、マスク着用等も個人の判断に委ねられ、面会規制 も緩和される傾向にある。一方、同時発生傾向にあるインフルエンザを含む感染対策も必須になり、各施設における感染症対策意識が強化している。こうした施設における意識強化背景を十分に理解した上で、次年度は速やかに、仙台市を中心に、周辺市町村:泉市、多賀城市、塩竈市、利府町、七ヶ浜町、大郷町の4市3町の老健に研究協力依頼し、研究概要説明を行い、研究協力要請を実施する。同時に信州大学へも予定施設に対する調査実施を指示する。予定施設の調査協力が得られない場合をも考慮し、新たな協力施設の開拓も視野に入れて、計画を修正していく。特にこの状況を受けて次年度は、信州大学で直接会議を定期的に実施し(1回/3ヵ月毎の予定)、同時に松本市周辺施設訪問を行い、研究者間で共通認識をする機会を持つ。続いて研究計画目標1の老健の看護師・准看護師の職業的理念と実施している基本的看護技術に関する現状について、インタビューを実施する。 この際、コロナ渦の4年間の影響として、看護師・准看護師の退職者数や施設間異動状況をも把握して実施する。インタビュー結果は量的・質的側面から詳細に検討し、分析を実施する。必要に応じてインタビュー内容の若干の改変をも視野に入れる。
|
Causes of Carryover |
研究初年度となった令和4年度は、3年目に突入したコロナ感染症蔓延によって、国から対外的活動および人的対面接触を極力控えることの対応策が推奨された。また、令和5年度は令和4年7月から令和5年1月に第8波のピークを迎え、特に高齢者施設において感染が著明となったため、研究協力依頼等の実施活動も不可能になった。さらに令和5年1月のピーク時以降は感染症蔓延傾向も徐々に緩和され、感染症分類も5類へと移行した。しかし、高齢者施設は外部他者介入に対する警戒態勢は未だ厳しい現状が続いている。そのため、人件費・謝金の支出はなく、旅費についても移動自粛の影響もあり、信州大学においての直接会議は1回にとどまった。このため次年度は信州大学との調査報告検討会:直接会議を1回/3ヵ月毎を目安に実施し、同時に施設訪問等を含み、研究者間の認識を統一していく。 また、物品購入についても再検討を要することとした。資料収集代、インタビュー結果分析・解析用の人件費、備品として会議用ディスプレイマルチタッチ、文献やデータ出力および解析のための本研究専用パソコンの購入を予定している。
|