2023 Fiscal Year Research-status Report
臨床と在宅におけるプラシーボ使用の現状と看護師の心理的葛藤に関する継続研究
Project/Area Number |
22K10643
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
田中 美穂 東邦大学, 医学部, 非常勤講師 (80385567)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | プラシーボ / 看護倫理 / 質問紙調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本国内の300床以上の病院施設と訪問看護ステーションを対象とし、治療を目的としたプラシーボ使用の実状とプラシーボ処置の実施にまつわる看護師の心理的葛藤を明らかにすることを目的としている。病院で勤務する看護師の調査に関しては、2008~2010年度の調査結果を踏まえ、継続的な調査を計画している。 今年度行った分権の検討によると、前回の研究者らの調査以降、医学中央雑誌には14件のプラシーボの倫理に関する研究論文が発表され、半数は比較対象試験に関するもの、医学用語の認知度やプラシーボに関する総論が各1報あった。看護倫理に関するものは5報あり、レビュー1報、文献検討が3報、調査は質的なものが1報のみであった。どれも興味深いものではあるが、現在の実態を調査したものは見られなかった。 Pub medでは2010年以降107件のプラシーボと倫理に関する論考が見られ、看護師が薬物の処方権を持つ国では「ノシーボ効果」など日本とは異なるプラシーボの看護の倫理について調査が進められていた。また、興味深い論調として、看護師はプラシーボ治療や効果、ノセボ効果などを日常診療に役立てる理想的な立場にあるなどがあり、倫理的な問題に言及しつつも促進する方法の獲得を提言するものもあった。 研究者が実施する調査項目に、プラシーボ与薬の認知のみでなく、プラシーボ効果の科学的知識やノシーボ効果の知識、看護倫理教育でプラシーボ与薬を取り扱うべきか、などの調査も重要だということが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
倫理審査の承認を受けて、調査対象の病院リストの作成を依頼し、2023年7月にカスタマイズが完了した。その後、紙の価格の高騰により質問紙の印刷や、郵送費用も安価の郵便サービスが終了するなどして、科研費申請時とは条件が変わってしまった。そこで、印刷の相見積もりを複数社で取り、個別に交渉するなどし、時間を要してしまった。現在、依頼業者が決定し、質問紙の返信の受け取りに関しては郵便物受取人払いの手続きなどを終了した。郵送代金を節約するため、さまざまに検討中である。 2024年度は在宅看護におけるプラシーボ使用の調査を行うための倫理審査は申請が済んでいるが予算が逼迫しており、病院の全国調査が終了後、残額が明らかになってからの費用の調整となる。よって、在宅調査も遅延している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究協力対象の施設の住所一覧が整い、およそ1,500施設への質問紙や返信用封筒などの印刷と郵送の準備は可能であるため、すぐに進める。郵送費用は未だ検討中であるが、早急に決定し郵送する。 全国病院調査の返信期間を1ヶ月とし、回収が済み次第、残額に合わせて在宅看護における調査を調整し10月までには終了する。
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Causes of Carryover |
印刷費の高騰のため、依頼業者の選定に手間取ってしまったことにより、調査の開始が遅れており、次年度使用額が生じた。 23年度に印刷・郵送予定であった質問紙調査を行い、回収数に応じて郵便料金受取人払いで支出する。また、全国病院調査の残高に応じ、在宅看護の調査方法を検討し、調査を進める。印刷費と郵送費がかかる予定であり、足りない分は自費にて補填する。
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