2023 Fiscal Year Research-status Report
県産タデアイ抽出成分配合の清拭剤によるタオルの細菌増殖抑制と皮膚清潔への効果
Project/Area Number |
22K10736
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Research Institution | Hirosaki University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
渡部 菜穂子 弘前医療福祉大学, 保健学部, 講師 (30550842)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 県産タデアイ / 清拭タオル / 抗菌効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、抗菌効果があるとされる県産タデアイ抽出成分を含んだ清拭剤を開発し、タオルの細菌増殖を抑制しつつ皮膚を清潔に保つことで、清拭タオルに起因した感染症のリスクを軽減させることである。 令和5年度は前年度に全国の医療機関を対象に実施した清拭タオルの使用に関する実態調査について結果をまとめた。168施設(回収率21.0%)から回答を得た結果、綿タオルのみ使用している施設が53施設(31.5%)、ディスポーザブルタオルと併用が51施設(30.4%)、ディスポーザブルタオルのみ使用が64施設(38.1%)であり、2014年に「感染予防の観点から、再生綿タオルは安全な清拭素材ではない」という研究報告があった以降も、併用を合わせると約半数の施設が綿タオルを使用していることがわかった。ディスポーザブルタオルを採用している理由では「感染予防」や「看護師の使いやすさ」が多かった。一方、綿タオルを採用している理由として最も多いのは「患者の心地よさ」だった。感染予防と患者の心地よさの両方を可能にする清拭タオルを考えるためには、綿タオルの細菌汚染の予防、もしくはディスポーザブルタオルの安楽性を高めることが必要であることが示唆された。 また、理化学研究所バイオリソース研究センターより入手した4種のセレウス菌株を一定条件のもと培養し、熱耐性の評価から芽胞を形成する株、形成しない株の2種を選定した上で、タデアイ抽出成分の抗菌効果を確認した。その結果、80℃、20分の加温によって検出限界値以下となるセレウス菌株の場合、成分濃度10%で菌の減少率約80%、成分濃度1%で90%だった。ただし、加温しても35%程度の菌が検出される株の場合、抽出成分の濃度に関わらず菌の減少は見られなかった。タデアイ抽出成分は、セレウス菌の栄養細胞に対する抗菌効果はあるが、芽胞に対する効果は認められないことを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
タデアイ抽出成分の抗菌効果について、清拭剤として用いるためには、セレウス菌のみならず他の病原性細菌や、皮膚の常在菌への影響についても確認する必要がある。また、HaCaT細胞などを用いて実験を行う中で、タデアイ抽出成分の濃度と細胞傷害性の関連も確認する必要が出てきた。そのため、当初の計画では2023年度に清拭剤の製作や健常者への試験を行う予定であったが、安全性等の確認のためにも、より詳細な実験を重ねる必要があることがわかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
タオルの細菌汚染を抑制し、なおかつ皮膚に対する安全性の高い清拭剤を作製するために、タデアイ抽出成分の抗菌効果に関する実験と、清拭の対象である患者の皮膚に対する影響を考えるためのin vitroな実験を丁寧に重ね、エビデンスを構築していく。
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Causes of Carryover |
清拭剤の開発及び健常者へ使用しての評価を行うために「携帯型閉鎖チャンバー方式水分蒸発量測定装置」の購入を計画していたが、研究計画そのものの進行が遅れていることにより、購入を見合わせた。また、研究成果の報告等も計画よりも遅れているため、学会参加費やそれに伴う旅費等の使用がなかった。
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Research Products
(2 results)