2023 Fiscal Year Research-status Report
脳卒中領域における摂食嚥下ケアに関する状況特定理論構築と評価指標の開発
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22K10760
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
粟村 健司 兵庫県立大学, 看護学部, 客員研究員(研究員) (80822741)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂下 玲子 兵庫県立大学, 看護学部, 教授 (40221999)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 脳卒中後嚥下障害 / 回復移行 / スコーピング・レビュー / 統合的アプローチ / 進捗指標 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,脳卒中領域における摂食嚥下ケアに関する状況特定理論(Situation Specific Theory:SST)を構築し発展させることである。また,開発したSSTを理論的基盤とし,脳卒中後嚥下障害(Post-Stroke Dysphagia:PSD)を有する対象者の移行状況やその看護実践について体系化を図り,評価指標の開発することを目指している。 2023年度の主な取り組みとしては,先行研究にて報告されている,脳卒中後嚥下障害を有する対象者らの経験やその状況について概観するために,PSDに関連する定性的研究を対象としたスコーピング・レビュー(ScR)を実施した。ScRでは,本研究で設定した包含基準を満たす研究論文は17件であった。ScRに関する研究知見は,関連学会学術集会にて公表する予定にしている。 次に,Im(2005)が提唱した統合的アプローチを活用し,①トランジション理論(Meleis,2010)の理論的枠組みと構成概念,②上述したScRの研究知見,③研究代表者のPSDを有する患者の摂食嚥下リハビリ体験を探求した質的研究といった複数の情報源を活用・統合し,『脳卒中後嚥下障害を有する対象者の移行状況に関するSST(SST of Transition for Stroke Survivors with Dysphagia)を構築した。移行に影響を与えうる要因として,対象者が有する個人的要因以外にも,【身近な人々との関係性と役割の変化】【食を介した社会的相互作用】【社会における嚥下障害の受け入れや設備状況】等といったコミュニティや社会状況としての考慮すべき視点を探求した。また,対象者の移行が進んでいるかどうかを評価し得るためのテーマや具体的要素についても検討を図った。 今後は,本研究で検討したSSTの枠組みや考え方を基盤し,次年度以降の調査を進めることとしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,本研究を進めるうえで理論的基盤となるSSTを精錬し構築する取り組みを行った。次年度以降に,脳卒中後嚥下障害を有する脳卒中患者の移行状況や看護実践に関する評価指標を探求するための研究計画も検討することができているという点から,現在までの進捗状況として,【おおむね順調に進捗している】と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,本研究で検討したSSTを理論的基盤とし,脳卒中後嚥下障害を有する対象者の移行状況や看護実践に関連する評価指標など探求するために,脳卒中領域の摂食嚥下ケアに精通する実践者らを対象とした質的調査を進める。また,それら研究知見を踏まえた量的調査を進めるこ予定にしている。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由としては,本年度は,これまで研究者が散り組んできた,嚥下障害を有する脳卒中患者の移行に関する状況特定理論の精錬と開発を重視し進めてきたため,予定している調査研究までは進められておらず,旅費や謝品等に関する支出をしなかったためである。また,次年度以降,論文掲載料など必要となることから,これらを踏まえて次年度に必要予算を繰り越すこととした。
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