2023 Fiscal Year Research-status Report
患者と医療者が協働する「2型糖尿病ストレス対処・対人スキル教育」の開発
Project/Area Number |
22K10807
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
多崎 恵子 金沢大学, 保健学系, 教授 (70345635)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八木 邦公 金沢医科大学, 医学部, 教授 (30293343)
堀口 智美 金沢大学, 保健学系, 准教授 (40768826)
浅田 優也 金沢大学, 保健学系, 助教 (40795671)
藤田 結香里 金沢大学, 保健学系, 助教 (20827919)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 2型糖尿病 / ストレス対処 / 対人スキル / 患者教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
2型糖尿病患者数は増加の一途を辿っており、重症化予防のための患者教育は重要である。ストレスが糖尿病コントロールに悪影響を及ぼすことから、現代のストレス社会において糖尿病と心の健康の関係は重視されている。ストレスは周囲の人々との関係に起因していることが多いため、患者自身が糖尿病とストレスの関係を理解し、ストレス対処法や対人スキルの双方を習得する必要がある。しかし、臨床現場ではこのような教育の実施は少ない現状であり、具体的な教育内容や方法は未だ開発がなされていない。そこで本研究では、患者と医療者が協働し、当事者である患者の視点を取り入れたストレス対処・対人スキルを育む患者教育方法を開発することを目的とする。 2023年3月に倫理審査の承認を得、4月以降、3医療機関に研究依頼・説明を行い協力の同意を得た。しかし、うち1施設はクリニックであるためグループインタビュー参加者募集は難しく、2施設での実施となった。各施設に在籍する糖尿病看護認定看護師に対象者の選定を依頼し、A施設3名、B施設3名の2型糖尿病患者に研究参加の同意を得、各施設でのグループインタビューを実施した。その内容を録音し逐語録に起こし質的に分析した。その結果、ストレスを強く感じている者はいなかった。食事療法を意識していても体重コントロールが難しいことに幾分ストレスを感じている者がいる一方で、糖尿病の食事療法は全く意識していない者や、あえてあまり厳しい摂生を課さないようにしている者もいた。対象者はすべて70歳以上、糖尿病罹患歴20年以上、患者会活動者であった。したがって、今回の結果は糖尿病歴の長い高齢2型糖尿病患者におけるストレスの捉え方とストレス対処の実態を示すものとなった。 今後は、対象者に40歳~60歳代で就業している患者や糖尿病歴の浅い患者も含めインタビューを実施していく。また並行して糖尿病教室の準備をすすめていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
最初に研究協力依頼したクリニックでは、当初院内にポスターを掲示し対象者を募る予定だったが、患者を募るのが難しい現状との申し出があった。そのため患者会をもつ総合病院を協力施設として増やす必要があり変更申請の承認までに時間を要した。 変更申請承認後、A施設3名、B施設3名、計6名の2型糖尿病患者に対し、各施設でグループインタビューを実施した。女性2名、男性4名、いずれも70歳以上、糖尿病罹病歴20年以上、薬物治療を受けておりHbA1cは6.5~8.5%(自己申告)であった。全員患者会活動をしている。退職者2名、主婦1名、自営業1名、アルバイト1名、農業1名であり、第一線で就業している者はいなかった。インタビュー時間はA施設75分、B施設69分であった。許可を得てICレコーダーに録音し逐語録に起こし内容を質的に分析した。 インタビューの結果は以下であった。ストレスを強く感じている者はいなかった。現在のストレスについては、糖尿病ではない夫の食事の世話、共に暮らす子世代との生活感覚のずれ、糖尿病食を意識してくれる妻の目であった。過去のストレスについては、コントロール不良時の医師の厳しい対応、仕事の大変さなどが挙げられた。また、食事療法を意識していても体重コントロールが難しいことに幾分ストレスを感じている者がいる一方で、糖尿病の食事療法は全く意識していない者や、あえてあまり厳しい摂生を課さないようにしている者もいた。ストレス対処行動については、食事作りをせず時々外食する、同病者の似ている生活環境の友人と話す、アウトドア活動、後に引かないよう収めるなどであった。
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Strategy for Future Research Activity |
対象施設を広げるため、研究倫理審査の変更を申請しており結果待ちである。今後は40歳~60歳代の対象者へのグループインタビューを実施する。また、並行してストレス対処・対人スキルをテーマに糖尿病教室を企画し実施していく予定である。
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Causes of Carryover |
研究の進捗が遅れているためである。今年度は糖尿病教室開催のためのポスターや資料作製費用、糖尿病教室開催時やデータ分析における雇用者への謝金、研究成果発表・情報共有のための学会参加費用および旅費の費用等として使用する予定である。
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