2023 Fiscal Year Research-status Report
精神科医療における多職種連携の実態とその効果を規定する要因の解明
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22K10823
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
異儀田 はづき 東京女子医科大学, 看護学部, 助教 (70601293)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古屋 健 立正大学, 心理学部, 教授 (20173552)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 多職種連携 / 看護師 / チームワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、①前年度調査の分析の継続、②「精神科医療機関の多職種連携の実効性を高める心理的安全性の実際」を実施した。 ①「精神科医療と精神科以外の診療科における多職種連携のチームワークの比較に関する研究」の分析では、精神科と他の診療科における多職種連携のプロセスや問題と成果の因果関係を明らかにする基本モデルを検討した。多職種連携の問題(コミュニケーション問題、カンファレンス問題、連携不全問題、医師問題、チーム外問題、対患者家族関係問題)、チーム形成準備(目標、計画、役割分担)、チーム機能(適切な意思決定、点検評価、凝集性)、成果を用いて共分散構造分析を行った。最も適合度が高かったモデルでは、成果に直接影響を与えるプロセスの中心的要素はチーム機能であった。また、コミュニケーション問題、カンファレンス問題、連携不全問題、医師問題、チーム外問題の個別の問題は連携不全問題に集約され、対患者家族関係、チーム形成準備を媒介として、チーム機能に影響を与えていた。次に、多母集団分析により、4種の診療科間の比較を行ったところ、パス係数の大きさに差が認められたのは,チーム外問題から連携不全問題へのパス、医師問題から連携不全問題へのパス、連携不全からチーム形成準備へのパスだった。 ②「精神科医療機関の多職種連携の実効性を高める心理的安全性の実際」の調査は、前年度調査で多職種連携のプロセスの阻害要因は明らかになったものの、多職種連携の成果に影響するプロセスを高める要因の特定が課題となったため、実施した。目的を精神科医療機関の多職種連携の実効性を高める要因として心理的安全性に着目し、心理的安全性に影響を与えるリーダーやメンバーの行動を参与観察より特定することとした。2023年9月~2024年3月に、2施設3病棟計17回の多職種カンファレンスに参与観察し、補足的インタビューと質問紙調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は当初の計画通り、前年度調査の分析を継続し、そこで明らかになった課題をもとに、実際の臨床で多職連携の実効性を高めるためのリーダーやメンバー行動の実際を心理的安全性に着目し、連携の参加者の発言や雰囲気、採られている手順を記録した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、連携の実効性を高めるまたは影響が大きい項目を厳選し、現場で使用可能な多職種連携を評価するチェックリストの試案を作成し、試行をする予定である。 2023年度調査の参与観察では、大半の多職種カンファレンスが円滑に進み、すでに心理的安全が高い多職種チームがほとんどであった。そのため、多職種連携における困難さをどのように解消したかという点については、情報が不足している。臨床では、日常的に生じる多職種連携の問題や困難に対し、様々な工夫が講じられ、結果的に多職種連携の成果が生み出されている。 そのため2024年度は、精神看護系の学会で交流集会やワークショップを開催し、①精神科医療機関の多職種連携で生じる問題点と工夫に関する事例収集、②精神科多職種連携経験者にによるチェックリストの試行を予定している。
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Causes of Carryover |
2023年度に使用予定だった人件費・謝礼、学会参加費等は、2024年度の調査、学会の交流集会/ワークショップの開催費用として使用する。
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Research Products
(2 results)