2023 Fiscal Year Research-status Report
潰瘍性大腸炎患者の疾病に伴う負荷を測定するツールの開発
Project/Area Number |
22K10830
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
高橋 美宝 武庫川女子大学, 看護学部, 助教 (20912132)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
布谷 麻耶 (吹田麻耶) 武庫川女子大学, 看護学部, 教授 (70514735)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 潰瘍性大腸炎 / 疾病に伴う負荷 / 不安 / 尺度開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は潰瘍性大腸炎患者の疾病に伴う負荷を測定する尺度を開発することを目的としています。潰瘍性大腸炎は大腸に炎症を起こす難病で、症状が落ち着いている寛解期と活動期を繰り返す疾患です。潰瘍性大腸炎患者は活動期のみならず、寛解期においても健常者に比べてQuality of life(以下、QOL)が低下することが報告されており、寛解期にある患者のQOLの最大の影響要因は不安であることが示されています。寛解期は病状が安定しているため、患者は定期的に外来に通院するのみで看護師が関わる機会は少ないのですが、患者のQOLを向上するには不安に対してアプローチする必要があると考えました。 2022年度は第1段階として潰瘍性大腸炎患者の疾病に伴う負荷を明らかにするために、寛解期にある20歳以上の患者12名に半構造化面接を行い、QOLへの最大の影響要因である不安の誘因と構成要素、不安への対応の観点から質的記述的に分析しました。 結果は患者が抱える具体的な不安の誘因、構成要素、不安への対応が抽出されました。その結果から、再燃や治療の経験、症状を誘因として、患者は寛解期であっても便失禁や治療、役割喪失等の多様な不安を抱えていました。 看護師は患者が抱える不安を理解し、患者自身の不安への対応に応じて援助する必要性が示唆されたため、潰瘍性大腸炎患者が疾病に伴う負荷としての不安の軽減に向けて、具体的な看護実践に繋げていきます。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に従って、2022年度には面接調査を実施して、調査内容を分析し、結果をまとめました。 2023年は面接調査の分析結果から潰瘍性大腸炎患者が疾病に伴う最大の負荷である不安の尺度原案を作成しました。その尺度原案に対して潰瘍性大腸炎患者、消化器内科医や看護学研究者や看護師より尺度の内容妥当性、表面妥当性の検証を行い、尺度項目を修正しました。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、関西地区のクリニックに通院する潰瘍性大腸炎患者に対して、尺度開発おけるアンケート調査を実施します。 そのため、研究協力施設によって約900名の参加を募り、調査を実施する計画であります。調査結果を統計学的に分析して妥当性と信頼性の検証します。さらに、再現性の検証のために1回目のアンケートに回答してから3週間後に再度尺度項目への回答をしていただく予定です。これらの調査結果を、統計学的に分析し結果をまとめていきます。 2025年には、これらの分析結果をさらに検証し、潰瘍性大腸炎患者が疾病に伴う負荷を測定するツールとしての尺度内容を検討し、尺度を作成する予定です。運営メンバーで調査結果を検討、修正を加えて、最終的な尺度を確定する予定です。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症が蔓延していたため、予定していた学会への参加がオンラインでの参加に変更になったことや、人件費や謝礼金を使用せずに研究を進めていることが影響していると考えます。また、研究準備を行うための研究説明書や質問紙調査票、封筒等の印刷会社への依頼が遅くなったことも理由のひとつであると考えます。 2024年度は研究説明書や質問紙調査票、封筒等の印刷会社を終えており、研究結果をまとめて2025年度は学会での発表を行えるように準備を進めていきます。
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