2022 Fiscal Year Research-status Report
がんゲノム医療での遺伝性腫瘍診断目的による患者・家族への医療者間連携に関する研究
Project/Area Number |
22K10840
|
Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
笠城 典子 鳥取大学, 医学部, 准教授 (60185741)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 康江 鳥取大学, 医学部, 教授 (10346348)
前垣 義弘 鳥取大学, 医学部, 教授 (80252849)
岡崎 哲也 鳥取大学, 医学部附属病院, 助教 (30465299)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 遺伝性腫瘍診断 / コンパニオン診断 / 遺伝カウンセリング / クライエントの思い |
Outline of Annual Research Achievements |
がんゲノム医療において治療薬選択のためのコンパニオン診断は、結果が陽性の場合には治療薬適応の判断がなされるが、同時に遺伝性腫瘍診断になり、血縁者への影響が考えられる。陰性の場合は、遺伝性腫瘍の可能性は低下するが治療薬の適応にならない。コンパニオン診断を受けた患者の中には、血縁者へ情報提供をしない、あるいはできない場合もあり、血縁者の予防行動へ繋がらない。本研究は、遺伝性腫瘍診断あるいはコンパニオン診断を受けた患者・家族の認識・理解、診断結果の受けとめ、医療者への期待、家族に対する思いを明らかにし、患者・血縁者のがん予防行動、早期発見・早期治療、良好な家族関係形成に対する医療者間連携による効果的な対応を明らかにすることを目的とする。 本年度には、鳥取大学医学部附属病院遺伝子診療科を遺伝性腫瘍診断およびコンパニオン診断を目的に受診したクライエントおよび家族を対象に、気分・感情の変化および遺伝カウンセリングに関する認識、理解度、満足度、検査への期待、家族への思い、心配・不安に思ったこと等について質問紙調査を実施するため、文献検討およびがんゲノム医療に関連した遺伝カウンセリングに参加し、クライエント・家族の思い、情報の理解、検査結果に対する思い、検査結果による家族への思い等について把握した。遺伝性腫瘍診断を実施したクライエントは、血縁者への影響を知る目的で受診していたが、家族に事前に伝えている場合があれば、検査結果によって伝える人もいた。コンパニオン診断を受けたクライエントは病状によって治療薬適応の期待は異なっていた。検査結果が陰性の場合、治療薬が適応されないことに失望する人、血縁者への影響が低下し安堵する人がいた。検査結果が陽性の場合、治療薬が適応され希望をもつ人、血縁者を心配する人がいたことを把握した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
がんゲノム医療が急速に進展し、治療薬選択のためのコンパニオン診断として遺伝性腫瘍症候群の原因遺伝子の遺伝学的検査が保険収載され、コンパニオン診断対象悪性腫瘍が拡大している。遺伝性腫瘍症候群の関連腫瘍の家族歴がない患者もコンパニオン診断を実施し、検査説明時に血縁者への影響について理解、認識するクライエントもいる。また、コンパニオン診断結果が治療薬選択に関係するため、病状あるいは立場によって陽性・陰性どちらの結果になってもクライエントへ異なる心理的影響を与えることが考えられる。したがって、遺伝性腫瘍症候群を含むゲノム医療・遺伝医療に関して、遺伝カウンセリングを受診したクライエント・家族を対象に、気分・感情の変化および遺伝カウンセリングに関する認識、相談内容、医療者の説明、理解度、満足度、検査を決断したときの気持ち、検査への期待、心配・不安に思ったこと等についての質問紙調査内容および遺伝学的検査を実施、診断説明を受けた対象者に対して、検査についての思い、結果についての思い・期待、家族への思い等を明らかにするための質問紙調査内容のさらなる検討が必要となり、遺伝性腫瘍に関連して遺伝カウンセリングを受診したクライエント・家族の状況を検討したので質問紙調査等の準備が遅れたためである。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和5年度は鳥取大学医学部倫理審査に申請・承認後、当院遺伝子診療科を遺伝性腫瘍診断およびコンパニオン診断を目的に受診したクライエントおよび家族を対象に、気分・感情の変化および遺伝カウンセリングに関する認識、相談内容、医療者の説明、理解度、満足度、検査を決断したときの気持ち、検査への期待、心配・不安に思ったこと、検査結果の受けとめ、家族・クライエントへの思い等について質問紙調査を行う。①遺伝カウンセリングによる気分・感情の変化について、受診のたびに遺伝カウンセリング前後で日本版POMS2短縮版を用いて明らかにする。②初診時、クライエントに対して情報収集(受診目的、受診までの経過、医療者からの説明・対応、家系図作成、思い、等)後、遺伝カウンセリングを実施し、遺伝学的検査の希望を確認する。その後、遺伝カウンセリングの理解、思い、満足感、検査への期待、家族への対応・思い、気にかかることなどについて質問紙調査(郵送にて回収)を実施する。遺伝学的検査後、診断告知を受けた対象者に対し、診断結果を知った時の気持ち、結果は期待したものか、家族への思い、血縁者に結果を伝えるか、気にかかること、診断結果は今後の人生設計に有用であるか、詳しく説明してほしい事項、医療者への要望等について質問紙調査により分析・検討する。検査診断告知前後で日本版POMS2短縮版を実施し、診断告知による気分・感情の変化をみる。
|
Causes of Carryover |
令和4年度は鳥取大学医学部附属病院遺伝子診療科で、遺伝性腫瘍診断およびコンパニオン診断を目的に受診したクライエント・家族を対象に、気分・感情の変化および遺伝カウンセリングに関する認識、相談内容、医療者の説明、理解度、満足度、検査を決断したときの気持ち、検査への期待、心配・不安に思ったこと、検査結果の受けとめ、家族・クライエントへの思い等について質問紙調査を行う予定であった。質問紙調査等の準備を行い、本調査を実施できなかった。学術集会、セミナーにWEB参加したため旅費が必要でなくなり、次年度使用額が生じた。 令和5年度は、鳥取大学医学部倫理審査に申請・承認後、当院遺伝子診療科を遺伝性腫瘍診断およびコンパニオン診断を目的に受診したクライエントおよび家族を対象に、気分・感情の変化および遺伝カウンセリングに関する認識、相談内容、医療者の説明、理解度、満足度、検査を決断したときの気持ち、検査への期待、心配・不安に思ったこと、検査結果の受けとめ、家族・クライエントへの思い等について質問紙調査を行う。質問紙調査、気分・感情の変化について分析する。
|
Research Products
(1 results)