2022 Fiscal Year Research-status Report
緩和ケア領域におけるがん患者への患者報告型アウトカム実装研究
Project/Area Number |
22K10851
|
Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
伊藤 奈央 岩手医科大学, 看護学部, 講師 (40910815)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 患者報告型アウトカム / 緩和ケア |
Outline of Annual Research Achievements |
緩和ケア領域において患者の苦痛を包括的に捉えることは、患者中心の医療やケアの提供につながる。しかし、患者の主観的評価である患者報告型アウトカム(Patient Reported Outcome:PRO)の活用は、わが国の緩和ケア領域において日常的に臨床活用されていない。これまでに緩和ケア病棟で行ったPROの実装研究で得られた知見を活かし、一般病棟や在宅でのPRO実装を進め、その促進要因と障壁を明らかにすることが研究の目的である。 本研究では、がん患者対象の信頼性・妥当性が検証されており、包括的に患者の苦痛を評価する指標であるIPOS(Integrated Palliative Outcome Scale)を用いてPRO実装をすすめる。IPOSを一般病棟や在宅に導入することは、PROの臨床活用につながり、療養場所を問わず患者中心の医療・ケアの提供が期待できる。 2022年度は新型コロナウィルス感染症の拡大により、一般病棟や在宅において新たな取り組みを行うことは医療者にとっての負担が大きいことが懸念された。そのため現在の医療情勢を考慮し研究計画の見直しを行った。また、緩和ケア病棟におけるPRO実装研究結果をふまえ、インタビューガイドの作成と質問紙調査項目の見直しを行った。また、日本緩和医療学会においてIPOSを用いたPRO導入に関する交流集会を企画・運営し、PROとIPOSの周知を図り、研究協力への施設のリクルートを行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は、包括的に患者の苦痛を評価するツールであるIPOS(Integrated Palliative Outcome Scale)を用いて、一般病棟や在宅においてPRO(Patient Reported Outcome)の導入をすすめるものである。PROによるメリットが示されている一方で、導入においては医療者の負担が障壁となっていることがこれまでの研究で明らかになっていることから、その障壁を克服することが重要である。しかし、全国的に新型コロナウィルス感染症が拡大したため、各施設で新たな取り組みを行うことでのさらなる負担が生じることが懸念され、研究の進行を見合わせた。以上の理由から、上記区分とした。
|
Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、新型コロナウィルス感染症の情勢をふまえ、研究協力について了承いただいている施設との打ち合わせを重ね、調査を実施したいと考えている。グループインタビューをオンラインで行う準備は進んでおり、質問紙についても見直しを行っているため、一般病棟からインタビューと質問紙調査、IPOSの導入を開始する予定である。
|
Causes of Carryover |
2022年度は新型コロナウィルス感染症の拡大により研究の進行を見合わせたことから、調査協力施設への訪問にかかる国内旅費が生じなかったため、次年度使用額が生じた。
|