2023 Fiscal Year Research-status Report
新生児スクリーニング偽陽性例に潜因する飢餓の発育への影響:母乳育児支援体制の構築
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22K11065
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
島田 祐美 大分大学, 医学部, 医員 (50548146)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井原 健二 大分大学, 医学部, 教授 (80294932)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | タンデムマス分析 / 新生児スクリーニング偽陽性 / 脂肪酸代謝異常症 / 母乳育児 / 飢餓 |
Outline of Annual Research Achievements |
母乳育児には母子間の愛着形成や感染防御作用など様々な利点があり、母乳育児を希望する母親は9割以上に及び、母乳育児の割合も5割を超えると報告されている。一方で、産褥初期の母乳分泌量が少ない時期において新生児が一過性飢餓となり、新生児スクリーニング検査で脂肪酸代謝異常症(極長鎖アシルCoA脱水素酵素欠損症(Very-Long-Chain Acyl-CoA Dehydrogenase deficiency):VLCADD)が偽陽性となる事が報告されている。今回、新生児スクリーニングの偽陽性例のその後の発育への影響と母乳育児に対する母の気持ちについて検討した。 対象は2014年4月1日から2019年3月31日に大分県で出生した正期産児で新生児スクリーニング検査でVLCAD欠損症が偽陽性だった20例のうち、書面で同意を得られた9例と、2014年4月1日以降に出生した正期産児で3歳半健診が終了している新生児スクリーニング正常児30例。新生児スクリーニングのデータ、精密医療機関の診療録と検査のデータ、母子手帳の成長記録による後方視的検討とご家族に対してアンケート・聞き取り調査を実施した。 VLCAD欠損症の偽陽性群の1か月健診から3歳半健診までの発育は陰性群と比較して有意差はなかった。一方で偽陽性群のアシルカルニチン分析では中鎖~長鎖と広範囲の脂肪酸上昇を認められた。新生児スクリーニング検査で要精密検査となる両親の心理的ストレスは大きく、産科医療機関での哺乳状況に応じた栄養管理が望まれると同時に要精密検査で受診された際の心理的ストレスに配慮した対応マニュアルの必要性を再確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
正常コントロール群も含め研究対象者へのアンケートと聞き取り調査を終了し、データ収集とその解析を実施ですることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
VLCAD欠損症の偽陽性群のアシルカルニチン分析では中鎖~長鎖と広範囲の脂肪酸上昇を認めており、今後VLCAD欠損症患者の測定値との比較検討することでより正確な評価につながると考えられる。
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Causes of Carryover |
学会に参加できず、旅費を使用する機会がなかったためと考える。次年度は学会発表や論文作成で使用する予定である。
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