2023 Fiscal Year Research-status Report
壮年期を対象とした伴走型血圧管理支援事業の役割と評価:社会的処方の観点から
Project/Area Number |
22K11085
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
福田 茉莉 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (70706663)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神田 秀幸 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (80294370)
久松 隆史 岡山大学, 医歯薬学域, 准教授 (60710449)
中畑 典子 島根県立大学, 看護栄養学部, 講師 (40299889)
絹田 皆子 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (20895297)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 高血圧 / コホート研究 / 地域保健 / 社会疫学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,IoT技術を用いた非接触型の血圧管理・疾病予防事業が参加者の健康増進にもたらす影響を社会的処方の観点から検討することを目的としている。本研究は,社会的処方の枠組みが地域住民を対象とした家庭血圧管理事業と照らし合わせ,これらの知見が援用可能かどうかを明らかにすることである。本年度も昨年度と同様,本事業参加者に生活習慣や心理状況,社会参加,医療費等の質問紙調査を実施した。さらに,社会的処方の観点から血圧管理事業を評価するための関係者インタビュー調査が開始された。 本年度は,家庭血圧管理事業に1年間以上継続的に参加した者を対象に,事業の参加状況によって血圧管理状況や高血圧に関連する要因が異なるかどうかを明らかにした。具体的には,心理的・社会的要因と家庭血圧測定アドヒアランスの影響や家庭血圧値の変動等が検討された。家庭血圧測定パターンは4つのパターンに区別され,毎日欠かさず測定する者から数日で測定から離脱する者も見られた。高血圧症の有無よりも参加者の年齢が測定に影響していることが分かった。また,長期に継続して測定し続けている者は,家庭血圧値も低下する傾向がみられた。これらの結果より,高血圧を起因とする疾病予防には,継続的な家庭血圧測定の維持が重要であることが示唆され,とりわけ,壮年期への家庭血圧測定及び血圧管理を促す必要があった。これらの成果は,関連する学術雑誌や研究者の所属する関連学会にて報告された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は事業参加が参加者の健康に与える影響を検討することができた。これらの知見を基に,学術誌投稿や研究者の所属する学術大会等で成果報告が実施された。以上の理由から,おおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の研究実施計画にしたがい,本年度に引き続き,本事業への参加が参加者の生理的・心理的・社会的要因にどのような影響をもたらすのかを検討するため,質問紙調査をはじめとする調査を継続的に実施する予定である。 さらに,社会的処方の観点から家庭血圧管理事業を評価するために,関係者へのインタビュー調査を実施する(現在継続中)。とりわけ,支援スタッフの具体的な支援内容や課題について質的研究の手法から分析することによって,当事者に要請される支援とその対応がどのようなものであったかを明らかにしたい。
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Causes of Carryover |
次年度も引き続き,家庭血圧管理事業の支援スタッフ含む関係者に現地にてインタビュー調査を実施する予定であるため,調査旅費や謝金,人件費等を執行する必要がある(本年度使用されなかった費用に関しては,次年度に引き続き執行される予定である)。また,質問紙調査等も研究期間中は毎年度実施されるものである。その年度の参加者数や回収率により,執行額に変動はあるものの,おおむね計画通りと言える。
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