2022 Fiscal Year Research-status Report
産業看護職によるWeb会議システムを用いた保健指導実施における課題とその対策
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22K11107
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
中谷 淳子 産業医科大学, 産業保健学部, 教授 (60341525)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 産業保健活動 / 遠隔保健指導 / リモートワーク / 保健指導 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】産業看護職による遠隔保健指導の実施状況,実施の促進要因や阻害要因,メリットとデメリット,実施における課題と対策をアンケート調査で明らかにし,遠隔保健指導のよりスムーズな導入方法や効果的な実施方法を検討することを目的とする.調査票作成に先立ち,産業保健活動としてのweb会議システムを用いた遠隔保健指導の課題,遠隔保健指導導入の促進要因,阻害要因を整理するために文献レビューを行った. 【方法】医学中央雑誌を用いて遠隔,保健指導の用語で検索し, 2017年1月~2022年12月までに発表された文献の中から会議録を除いた26件のアブストラクトを確認し,本研究の目的に沿った13文献を対象とした. 【結果】遠隔保健指導を実施する上での課題は,1.環境上の課題:プライバシーが確保できる場所(実施者側,対象者側双方),不十分な回線速度による音声や映像の途切れ,対象者の自己負担が生じた等,2.保健指導の効果に影響する課題:対象者の表情が読み取れない,活用できる五感が限られるためアセスメントが難しい,バイタルサイン測定ができない,信頼関係を築きにくい,十分に相談できた気がしない(対象者側)等,3.技術上の課題:資料の画面共有等操作技術の不十分さ等が生じていた.遠隔保健指導の実施を促進する要因は,1.対象者からのニーズがある,2.任意の場所から面談が可能である(指定場所への移動が不要),3.面談の日程調整がスムーズである,4.対面よりも保健指導に対する心理的な抵抗が下がる等があった.一方阻害要因では,1.対象者がプライバシーを守れる面談場所の確保が必要である,2.インターネット環境が必要である,3.十分な保健指導ができないと感じる等があった. 【結論】今後これらの結果を踏まえてアンケート調査を実施し,遠隔保健指導の課題やその対策,メリットを生かす保健指導方法を検討する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初2022年度中にアンケート調査を実施する予定であったが、第1段階である文献レビューに留まった。理由として、調査票作成準備に先立って予定していた産業看護職へのヒヤリングにあたり、対象者の確保や研究実施者の日程確保に時間を要し、結果として年度内に実施ができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度内に産業看護職へのヒヤリングおよび作成した調査票のプレテスト、本調査を行う。具体的には以下のスケジュールとする。 2023年8月 産業看護職へのヒヤリングおよび調査票の作成 〃 9月 調査票のプレテスト 〃12月~2024年1月 アンケート調査の実施
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Causes of Carryover |
当該年度に予定していた産業看護職へのヒヤリングおよびアンケート調査が実施できなかったため、これにかかる支出がなかった。また、当該年度に行った文献レビューにおいては費用の生じない方法での実施が可能であったこと、研究者が所有する既存物の物品以外で必要となる物品がなかったこと、学会への参加がオンラインであったため旅費が発生しなかったことも理由である。次年度においては、ヒヤリングを行う産業看護職への謝礼、アンケート調査結果を分析するためのソフトの購入、学会発表(日本産業衛生学会他)のための旅費等の支出を計画している。
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