2023 Fiscal Year Research-status Report
特定妊婦・要支援家庭へのアウトリーチ型支援におけるICTツールの活用と効果検証
Project/Area Number |
22K11134
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
石井 美由紀 兵庫県立大学, 看護学部, 准教授 (40437447)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下田 優子 京都橘大学, 看護学部, 専任講師 (20845979)
上野 まき子 京都橘大学, 看護学部, 研究員 (90906778)
黒瀧 安紀子 京都橘大学, 看護学部, 准教授 (70593630)
本田 順子 兵庫県立大学, 地域ケア開発研究所, 教授 (50585057)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | アウトリーチ / 特定妊婦 / 要支援家庭 / 家庭訪問 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、コロナ禍で行政保健師が特定妊婦・要支援家庭の子育て支援で発揮したアウトリーチの機能とそれを発揮するにあたり直面した課題を明らかにし、課題克服に向けた方略を検討した。 所属大学研究倫理委員会の承認を得た上で、近畿圏内の6自治体の母子保健統括部署長に依頼し、母子保健福祉事業に従事している常勤保健師を研究対象候補者として推薦してもらった。研究者から研究対象候補者に研究目的、意義、方法、倫理的配慮等を説明し、協力の同意が得られた11名を研究対象者としてインタビュー調査(対象者の希望にそって対面あるいはオンライン)を実施した。 調査では、対象者の基本情報、コロナ禍で行った特定妊婦や要支援家庭への子育て支援の内容や方法、発揮できたと思うアウトリーチ、アウトリーチを機能させるために求めたいツールやシステムなどを語ってもらった。インタビュー内容は対象者の了解を得て録音・録画して逐語録を作成し、本研究のデータとした。質的記述的に分析し、コロナ禍で行政保健師が特定妊婦・要支援家庭の子育て支援で発揮したと認識しているアウトリーチの機能を明らかにした。また、アウトリーチの主な手法である家庭訪問に関する認識を明らかにするため、visual analogue scale(0:全くそう思わない~100:完全にそう思う)を用いて6項目に回答してもらった。 対象者の平均年齢は35.8歳で全員が女性であり、保健師としての平均経験年数は11.5年であった。6項目はいずれも平均値が80以上であり、コロナ禍前に同じ尺度を用いて実施された調査の結果と比較したところ、全ての項目の平均値が高いことが判明した。 上述のような成果は国際学会で発表するとともに国際誌に投稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍の影響により、研究対象者のリクルートに難航したため、当初計画よりも調査時期が遅れた。そのため上記区分を選択した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は当初計画にそって、アウトリーチでのICTツールの活用について情報を収集する。得られたデータをテキストマイニングにより分析し、行政保健師のICTツールの活用の促進要因と阻害要因を明らかにする。 日本の地域保健行政におけるデジタル・トランスフォーメーション(DX)化はコロナ禍を経験して進みつつあるが、欧米と比べると法制度やシステム等の課題が山積している。また、行政保健師のICTツールの活用など、保健師活動におけるDX化はようやく動き出したばかりである。コロナ禍を経て、暮らし・労働・住まい方などもますます多様化しており、それらを背景として保健師のアウトリーチも変化が求められている。時代に応じた保健師活動を展開するため、活動の基盤となるシステムやテクノロジーの側面からも課題を検討し、解決に向けた方略を探索する。
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Causes of Carryover |
当初計画では2023年度に国際学会への参加を見込んでいたが、本務(教育活動)におけるCovid-19の感染防止対策の観点からオンライン参加を選択せざるを得なかったため旅費が余剰した。また、国際情勢の影響等による機器の調達も遅れたため物品費も余剰した。2024年度は国際学会の現地参加が叶ったものの、昨年度分からの繰り越しを挽回するには至らなかったことから次年度使用額が生じた。 次年度は研究成果を国際学会で発表する計画であることから旅費等の使用を計画している。
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