2022 Fiscal Year Research-status Report
認知症高齢者の慢性便秘マネジメント教育プログラムの多職種共同開発とモデル施設構築
Project/Area Number |
22K11140
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
内藤 智義 浜松医科大学, 医学部, 助教 (90632422)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 認知症高齢者 / 慢性便秘マネジメント / 教育プログラム / 多職種共同開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度の主な実績は、先行調査の介護施設における看護師と介護士への認知症高齢者に対する排便ケアの教育プログラムの有効性に関する実証研究を米国消化器病学会誌「The American Journal of Gastroenterology」にて公表したことである。研究成果の概要は、次のとおりである。慢性便秘は、介護施設に入所している認知症高齢者によくみられ、興奮・徘徊・暴言など認知症の行動・心理症状(BPSD)を引き起こし、介護者に多大な負担を与える可能性がある。私たちの研究グループは、介護施設に入所する認知症高齢者を対象に、排便習慣の確立(Bowel training)と排便を促進する効果的な排便姿勢を組み合わせた排便ケア(介入群)と水分・食事摂取の促しや下剤管理など一般的なケア(対照群)とを比較することで、慢性便秘と関連する問題を改善するか検証した。研究成果のポイントは次の3点である。①認知症高齢者を対象に、排便習慣の確立(適切な排便時間と間隔でトイレ誘導)と排便を促進する効果的な排便姿勢(足底を床につけた前傾姿勢)により慢性便秘の改善に有効であったことを世界で初めて実証した。②残便感のない自発的排便(24時間以内に下剤や浣腸など治療を受けていない排便)が、8週間の排便ケア後に有意に改善した。③認知症高齢者の生活の質および精神状態が改善し、さらに介護者の負担感も軽減することを明らかにした。さらにこの成果は、メディア報道(新聞)を通じて幅広い読者を対象に公表された。 その他、英国科学雑誌への掲載が決定している。この掲載の目的は、本研究課題の取り組みに関する広報活動および、研究内容に賛同してもらい共同研究の可能性などを探索していくことである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度は、多職種(医師、薬剤師、管理栄養士、リハビリ関係職種等)による慢性便秘マネジメント実践内容をインタビューおよび参加観察により明らかにする予定であった。しかし、関係施設のCOVID-19流行により進捗状況にやや遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
多職種(医師、薬剤師、管理栄養士、リハビリ関係職種等)による慢性便秘マネジメント実践内容を明らかにするため、対面による面接や参加観察が望ましい。しかし、必要に応じてリモートインタビューに変更するなど実施可能性を十分に検討しながら調査を進めていく。得られた結果は、多職種からなる検討により認知症高齢者の慢性便秘マネジメントに関する教育プログラムを策定し、妥当性を検証する。
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Causes of Carryover |
(理由)多職種(医師、薬剤師、管理栄養士、リハビリ関係職種等)による慢性便秘マネジメント実践内容をインタビューおよび参加観察する予定であったが、関係施設のCOVID-19流行により調査が延期となったため。 (使用計画)調査を再開したときの旅費や謝礼、テープ起こしのアルバイト費用等に使用する。
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