2022 Fiscal Year Research-status Report
壮年期からの「ヒアリング・アウェアネス(難聴の気づき)」健康教育プログラムの開発
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22K11181
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Research Institution | Seirei Christopher University |
Principal Investigator |
山田 紀代美 聖隷クリストファー大学, 看護学部, 教授 (60269636)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鍋島 純世 金城学院大学, 看護学部, 講師 (60634631)
小出 由美 関西医療大学, 保健看護学部, 講師 (00840563)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 難聴 / 高齢者 / 気づき / 健康教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度においては、高齢者の難聴の気づきや難聴高齢者自身による聞こえの認識に関連する国内外の文献について2010年度以降の最新の研究を探索した。検索源として、英語論文としてPubMed、和文論文として医学中央雑誌を用いた。その結果、英語論文6件、和文2件を抽出した。それらの内容を分析した結果以下のことが明らかとなった。 高齢者の難聴の自覚を阻害する要因には、軽度の難聴(25dB以下)、一側性難聴、難聴を全く予測していない人、耳鳴りの存在があることがわかった。また、難聴の高齢者自身による自覚には良聴耳(聞こえの良い方の耳)平均聴力が30dBを超える程度、悪い条件下(人ごみでの会話、小さな声で話しかけられた時)における聞こえにくさが影響していた。高齢者の難聴に対する気づきを促すためには、その聞こえていないという状況を高齢者自身が認知する必要があり、それを促すための簡易な評価方法として米国では携帯型通信用端末装置に聴覚検査専用ソフトを装填した簡便な検査手法が思案されていた。さらにブラジルでは5段階の主観的顔評価スケールの試案が、タイではHHIE-ST(Hearing Handicap Inventory for the Elderly screening Tai)のタイ語版などが試みられていた。さらに我が国ではゲノム解析等の検査法も試案されていることが明らかとなった。 以上から、高齢者の気づきを促すためには、高齢者自身に加齢により難聴が発生しやすいこと、それによりどのような症状や状況になるのかという生活への影響を啓発するとともに、自身で簡単に検査できる方法を指導・教育することが必要と考えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者及び研究分担者間のコミュニケーションも円滑であり、当初の予定通り進んでいる
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、地域の高齢者に対する難聴の気づきを促すための教育プログラム作成に向けて、地域高齢者の難聴に対する理解や難聴の自覚の有無などについて聞き取りを行う予定である。そのために、フィールドとなる地域包括支援センターへの調査対象者募集に関する依頼を始める。それにあたり所属機関及び地域包括支援センター等における倫理審査を経る計画である。倫理審査の承認を得たのちには、地域高齢者7-8名に対する調査を開始する。その結果をまとめ、難聴の高齢者がどのように難聴を受けとめるきっかけ、難聴かもしれないと気付いたきっかけなどを明らかにし、難聴の兆候およびどのように聞こえの低下を認識することが次なる行動に移行するのかなどを整理していきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
今年度の研究実施計画は文献の検討であった。文献の検索源は各研究者の所属する大学等において各々充実したものがあることから、予定よりも効率的に文献の収集が行えたため経費が抑えられた。 2023年度においては、調査対象者の獲得のために市内の様々な施設への調査依頼に要する旅費、さらに対象者確保後においては対象者への謝礼が発生するとともに対象者の聴力測定のためのオージオメータ、調査に必要な消耗品等を購入する予定である。
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