2024 Fiscal Year Research-status Report
壮年期からの「ヒアリング・アウェアネス(難聴の気づき)」健康教育プログラムの開発
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22K11181
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| Research Institution | Seirei Christopher University |
Principal Investigator |
山田 紀代美 聖隷クリストファー大学, 看護学部, 教授 (60269636)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鍋島 純世 金城学院大学, 看護学部, 講師 (60634631)
小出 由美 関西医療大学, 保健看護学部, 准教授 (00840563)
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| Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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| Keywords | 高齢者 / 難聴 / 気づき / 予防行動 |
| Outline of Annual Research Achievements |
令和6年度においては、地域在住の65歳以上の主観的に聴力が保たれていると自覚している女性高齢者16名に対して、加齢性難聴に対する知識並びに認識を明らかにすることを目的にインタビューを実施した。 対象は、H市のシルバー人材センターに登録している女性である。対象の選定条件は、聞こえに関する困り事の経験がなく主観的にも聴力が維持できている者とした。調査内容として、高齢者の属性、両耳の500Hz,1000Hz, 2000Hz,4000Hzの聴力をオージオメータにて確認した。加齢性難聴に関する知識として、発症年齢、65歳以上人口における割合、加齢性難聴の聞こえの特徴、さらに加齢性難聴が健康や生活に与える影響、加齢性難聴に対する補助手段の知識を確認した。その後、高齢者自身の加齢性難聴者との会話の経験や、加齢性難聴に対するイメージ、自身が将来聞こえが低下したとしたらなど、自分自身のこととしてどのように考えるか、さらには難聴を含め健康に関する予防行動などについてインタビューを行った。結果は以下の通りであった。 女性高齢者の平均年齢は、68.38歳であった。良聴耳の聴力において、20dB以下の正常の者は13名、それ以外は3名であった。加齢性難聴の発症すると考える年齢は50歳~80歳と幅があるものの平均年齢は65.5歳であった。加齢性難聴の健康への影響について、コミュニケーションがとれないことや社会からの孤立に加え認知症との関係を述べたものが4名であった。自分自身の聞こえの低下を自覚していた者は6名であった。加齢性難聴に自身が将来なる可能性について考えたことがある者は10名であった。また、聞こえが悪くなった場合には補聴器を使用することで補聴できると12名が回答した。最後に、自分自身の耳や聴力について保護的ケアを実施していると答えた者は5名であった。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
3年目においては、地域在住の65歳以上の女性高齢者の難聴に関する知識や認識のインタビュー調査を予定通り実施することができた。これにより、2年間で男女26名の高齢者の難聴に対する認識を聞き取ることができた。その結果、男女ともに、聞こえや加齢性難聴に関する意識や関心は低い傾向が伺え、さらにはその予防についてはほとんど考えたことも無いという反応であった。その要因として、加齢性難聴についての生理的なメカニズムなどに関する知識がないこと、さらに日常生活での難聴者との関わりが少ないこと、関わりがあってもその場限りの対応に終始していたことで、記憶に残っていない状況が見て取れた。また、難聴による聞こえを改善するための補聴器に対するイメージも「使っても聞こえにくい」「雑音だらけ」といった風評に影響を受け、方法としては認識していても自分自身がつけることには消去的な姿勢がうかがえた。この様な結果を鑑み、これらの認識を転換するためには何が必要かを多方面から検討するために時間を要し、予定していた3年間で教育プログラムを作成しそれを評価するところまで進めることができなかった。 以上からやや遅れていると判断した。
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| Strategy for Future Research Activity |
令和7年度は、令和5年、6年度に実施した調査によって、課題が明らかとなったことから、以下のように考えている。 難聴に対するイメージや難聴者に対するイメージは偏見を含んだ発言はみられなかったものの、自分事として考えた場合には、拒否感、忌避感をもった発言がみられたことから、この社会的stigmaやイメージの払拭に直接働きかけることは難しいと感じた。それよりも、難聴と同じように補聴器への否定的なイメージについては、補聴器を用いて活発に社会参加している高齢者の体験談を直接聞くことで間接的な風評よりも印象の改善には寄与できると考える。さらに自分自身の体験は他者の意見や感想以上に自分自身の認識の変化をより強化すると考えることから、これらの内容を通して、難聴に敏感になり、自己で対応をする姿勢が身につくものと考えるために、これらの内容をプログラムの中心に据えた教育プログラムを作成する計画である。 そのためには、今後、難聴者で補聴器を使用して生活が活発になったという対象者からインタビューを行う。人数は5から7名程度である。それらの経験をまとめること、さらには当事者からの体験談をプログラムの内容に含めることとする。さらに補聴器体験を加えることで、難聴を身近に感じてもらえる機会とする。この様な教育プログラムを経験をした高齢者は自身の価値の修正が行えると共に周囲に対しても影響を与えることでヒアリングアウェアネスな社会になるものと考える。
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| Causes of Carryover |
研究計画の進行が予定よりも遅れたために、令和6年度の最終年度に予定していた介入、すなわち教育プログラムを作成し、それを高齢者に実施するという部分が実施できなかったために予算を使用することができなかった。 令和7年度においては、年度開始後すぐに難聴者で補聴器を使用したことで生活が活発になったあるいは人とのコミュニケーションが良好になったという経験を持つ高齢者のインタビュー調査を行う計画である。その結果を基に補聴器の必要性のみならず、補聴器を装用することで向上するQOL等を中心に据えた教育プログラムを30人程度に行う介入研究を実施し、その効果を検討する予定である。これらの2つの研究を行うことで、予算を計画的にまた確実に執行することとする。
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