2022 Fiscal Year Research-status Report
GISを用いた訪問看護のアクセシビリティの将来推計と可視化
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22K11212
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大橋 和貴 北海道大学, 保健科学研究院, 助教 (20848527)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 訪問看護 / アクセシビリティ / 訪問看護師 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度は、北海道の39在宅医療圏を対象に訪問看護の人口カバー率および地理的アクセシビリティスコアを算出した。人口カバー率は、北海道全体の65歳以上人口に対する訪問看護ステーションから30分以内の範囲に居住する人口の割合で示した。地理的アクセシビリティスコアは、訪問看護事業所の住所、常勤換算看護師数、500mメッシュで分けられた人口の情報をもとに2段階浮遊集水域法(2SFCA法)を用いて算出した。訪問看護師の訪問範囲を訪問事業所から30分以内と110分以内の2つのシナリオにわけ、110分のシナリオでは距離が遠くなくなるほどアクセシビリティが減少するように減衰関数を組み込んだ。 結果は、人口カバー率は北海道全体98%以上であった。地理的アクセシビリティスコアは札幌市、旭川市、渡島東部、函館市、網走、日高、千歳在宅医療圏は両シナリオともにスコアが高く、上位25%に含まれた。訪問範囲を拡大すると、石狩や北空知、遠軽、江別、函館市でスコアが上昇した。このような地域は、主に都市部に隣接しており、近隣の在宅医療圏からの訪問看護を受けやすい地域といえる。一方で、南檜山、南十勝、東十勝、根室市は両シナリオとも低値であり、北海道内で相対的に訪問看護を利用しにくい地域であった。複数のシナリオを用いることで、近隣の在宅医療圏からの供給を加味しても人口に対する訪問看護の供給が少ない地域を特定した。今後は、地理的アクセシビリティスコアを応用し、在宅医療のアウトカム指標との関連を明らかにすることが課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は、研究計画に沿って複数の手法により訪問看護の地理的アクセシビリティを評価し、北海道の在宅医療圏における相対的な地域差を示した。この結果は日本医療情報学会で報告した。一方で、当初予定していたレセプトデータを用いた妥当性の検証がデータの使用制限によって困難となったため、他のアウトカム指標を用いた分析を計画し進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
訪問看護の地理的アクセシビリティの現状を定量的に評価できたため、令和5年度はアウトカム指標を用いた妥当性の検証および小児看護や精神看護といった特定領域のアクセシビリティについても分析する。これらの結果を学会および学術雑誌に投稿し、研究結果の公表も進める。2025年から2040年にかけて生産年齢人口および老年人口を推移を考慮したアクセシビリティの評価を行い、本研究の目的である訪問看護のアクセシビリティの将来推計を行う。
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Causes of Carryover |
令和4年度に予定していたワークステーションの購入を延期したこと、外部委託予定であったプログラムのコーディングを自分で行えたことにより、令和5年度使用額が発生した。令和5年度は、計画当初に予定したワークステーションの購入、研究用データ購入、学会発表、論文投稿のために研究費を支出する。
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Research Products
(1 results)