2023 Fiscal Year Research-status Report
子を持つ保護者のCOVID-19ワクチン躊躇に関する研究
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22K11214
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
加藤 由希子 慶應義塾大学, 看護医療学部(藤沢), 特任助教 (00903329)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ワクチン忌避 / 保護者 / 子 / 動機付け因子 / 新型コロナウイルス感染症 / 社会的規範 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本国内における新型コロナワクチン接種率は年齢とともに低下し、生後6か月以上5歳未満では接種開始から1年以上が経過した2024年1月時点で3.2%と極めて低い状況が続いている。そこで本研究では、日本の生後6か月以上5歳未満の子を持つ保護者の子に対する接種状況および接種意図割合とその関連要因を探索することを目的に、2022年12月から2023年1月にインターネットパネルを利用した匿名オンライン調査を行った。 結果、保護者の80.1%が子への新型コロナワクチンを躊躇していた。躊躇の理由は「副反応が心配」「ワクチンの成分を信用できない」「感染予防効果があまりないと思う」の順に多かった。修正ポアソン回帰分析の結果、同居人数が少ないこと、子の年齢が低いこと、インフルエンザワクチンを子に接種させていないこと、子に基礎疾患が無いことがワクチン躊躇と関連していた。 次に、躊躇群を分析対象とし、接種意図変容の可能性を調べるために躊躇の度合いにより動機付け因子によって接種させたくなると答える確率が違うか、また各因子がどの程度保護者に対して子の接種を動機付けるかを調べた。結果、躊躇の度合いが低い人ほど、潜在的な動機付け因子によって接種させたくなると答える確率が高かった。また因子ごとの接種させたくなる確率比(PR)と 95%信頼区間は自治体長の勧めを参照群とすると、すべての潜在的動機づけ因子において有意に保護者が接種させたくなる確率が大きかった。特にワクチンの有効性(子が重症化するのを防ぐ、周囲の大人に感染させにくい)や安全性(何百万の子どもに対して安全に接種された)に関するエビデンスに関するPRが大きく、保護者は自治体長などの権威者の勧めよりワクチンの有効性や安全性に関するエビデンスを重視していることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度は、前年度に実施した初回調査の分析結果に関する学会発表と論文の出版を行うことができた。加えて2回目、3回目となるパネル調査も実施できたため順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、2022-2023年度に収集したパネルデータを用いて分析を進める。具体的には生後6か月以上5歳未満の子へ新型コロナワクチンを接種した保護者の特徴を明らかにする。分析結果は学会発表や論文投稿を通じて公開予定である。
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Causes of Carryover |
研究補助を依頼している方の人件費として計上していたが、作業が順調に進み、予定よりも早く終了したため予算計上していた額を必要としなかった。次年度の論文執筆や投稿に必要な費用に充当する予定である。
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Research Products
(2 results)