酸化ストレスを指標とした生活習慣の状況とヘルスリテラシーの実態と評価

2023 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 22K11239
• Research Institution: Tenshi College
• Principal Investigator: 伊藤 治幸 天使大学, 看護栄養学部, 教授 (70457737)
• Project Period (FY): 2022-04-01 – 2025-03-31
• Keywords: ヘルスリテラシー / 酸化ストレス / 身体組成

Outline of Annual Research Achievements

本研究は、ヘルスリテラシーの程度に与える影響要因を身体的側面と精神的側面から生物学的に評価することを目的とした。
2年目は調査の実施が困難であったため、1年目のデータについて再分析を行った。目的変数であるヘルスリテラシー(J-HLS-EU-Q47)の程度に影響を与える要因について、身体組成との関連から分析を行った。身体的側面の指標である身体組成値は、MC-780A-N（株式会社タニタ）のインピーダンス式体組成計を用いて、体脂肪量、脂肪量、除脂肪量、筋肉量を収集した。精神的ストレスの生物学的指標としてd-ROMsテスト及びBAPテストを用いた。さらに、関連要因として、自記式質問紙を用いて、「年齢」、「性別」、生活習慣、GHQ12（精神的健康）、CES-D (抑うつ尺度)を収集した。ヘルスリテラシー得点と身体組成値との関連について、日常生活習慣の違いや関連要因を統計的に補正したロジスティック回帰分析を用いて統計学的有意水準を5％として評価した。ロジスティック回帰分析に当たっては、J-HLS-EU-Q47得点を25点でカットオフを行い低群と高群に二分した。
調査に協力した対象者は52名であり、そのうち酸化ストレスに影響を及ぼす薬剤（ホルモン剤等）を服用している者を除いた42名を分析対象とした。ロジスティック回帰分析を実施した結果、J-HLS-EU-Q47に影響がある因子は、d-ROMs値(p=.039)、GHQ12(p=.027)、CES-D得点(p=.043)であった。身体組成値は有意な差は見られなかった。
身体組成とHLS-EU-Q47得点に統計学的関連がみられなかった理由としては、今回の対象者が女子大学生を中心とした集団であり、BMIの平均が20.8mg/kgと痩せ型の集団であったことが一因かもしれない。
3年目は、幅広い対象について調査を行い年齢階層別に分析を行う必要がある。

Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

現在、52名の対象者に対して調査を行い統計分析を完了している。現在は計画時より進捗が遅れている。若年集団（大学生）については調査実施の目処が立っているため計画通り実施する。また、中年期以降の集団についても調査実施のための準備が整ったため3年目は実施および幅広い集団を対象とした分析を行う。
現在までの多変量解解析における結果から、J-HLS-EU-Q47（ヘルスリテラシー尺度）とd-ROMs得点との間に有意な関連がみられている一方で、身体組成値との関連はみられなかった。中年期および老年期のデータを含めてデータ分析を進めていき、学会発表、論文作成に向けた取り組みを行う予定である。

Strategy for Future Research Activity

当初予定した計画通りにデータ収集および分析を継続する。
3年目は若年集団（10代から20代）への調査を継続するとともに、中年期代以降（30代以降）のサンプルを増やし年齢階層別の評価ができるようにする。現在までのところ、研究計画を変更あるいは研究を遂行する上での課題等はない。

Causes of Carryover

3年目以降の試薬および実験に関わる消耗品の購入等