2023 Fiscal Year Research-status Report
ニュータウン住民の互助を促進する地区組織・住民組織活動モデルの開発
Project/Area Number |
22K11263
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
伊藤 純子 静岡県立大学, 看護学部, 助教 (10436959)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 知代 豊橋創造大学, 保健医療学部, 教授 (50257557)
杉山 眞澄 静岡県立大学, 看護学部, 特任准教授 (50781738)
高橋 佐和子 神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 准教授 (80584987)
池山 敦 皇學館大学, 教育開発センター, 准教授 (80758681)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ニュータウン / 地域診断 / コミュニティ意識 / 地区組織活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
地区組織活動の推進に関わる要因の検討を目的として東海4県内で調査を実施した.ニュータウンと旧地区を比較した場合,住民属性,社会参加の状況と方法,コミュニティ意識に差が生じることを仮説とし,横断的研究デザインにより検証した.調査対象の条件は戸建型ニュータウン在住の20歳以上64歳未満の住民および当該ニュータウン所在地の旧地区住民とした.調査はインターネット調査会社に委託しオンラインで質問に回答するフォームを用いたWeb調査を行った.質問項目は本研究課題に先立って実施した18K10625の成果に基づきアイテムプールを作成し,研究班により内容妥当性と構成概念妥当性を吟味して設定した.調査会社が所有するモニター登録者リストより,年齢,性別,居住地の条件に適う登録者を一次スクリーニングし候補者とした.Web調査に回答する前に同意の確認項目を設け、研究協力の意思が確認でき期間中に回答のあった者とした.データは男女比は1:1とし,計1,000名の回答を得た。データ収集は2023年11月24日から27日の期間とした.研究実施にあたっては国際医療福祉大学研究倫理審査の承認を得た手続きを遵守した(承認番号:23-Ig-105). データはニュータウンと旧地区に層化して比較と差の検定を行った.ニュータウンの年齢分布は旧地区より高く,一斉入居による地域的凝集と高齢化の進行が示唆された.また有意な差を認めた項目として,子どもとの同居,友人との外出頻度はニュータウンが旧地区より低い結果であった.一方,地域での防犯活動,自治会活動,民生児童委員活動,地域活動への参加,コミュニティ意識はニュータウンが旧地区を上回った.ニュータウンは地縁の乏しさ等からソーシャルキャピタルが脆弱なおそれがあるが,一定の要件を満たすことにより,地区活動への参加やコミュニティ意識は旧地区を上回る可能性があることが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画は予定通り進行し,今後の研究に必要なデータの入手を完了している. また、研究の質を担保するための研究組織,環境,システムは整っており、支障はない.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の調査では,ニュータウンでは旧地区に比べ高齢化が顕著に現れる地域的凝集性を定量的に確認しすることができた.また,文献検討では,ニュータウン住民は他の地域からの転入により,地縁が乏しいことから,旧地区と比べて社会関係資本が脆弱であり,地域への愛着が低く,地区組織活動も不活発であると推測されたが,地区活動への参加やコミュニティ意識においては旧地区を上回る結果となった.ニュータウンの地域的凝集性は,地域活動における強みとしての活用が期待できる可能性が示唆された.今後の研究の方向性として,さらに分析を進め,個人的要因ならびにニュータウン特有の地区特性を現す変数のうち,コミュニティ意識に影響を与える要因の探索的分析を進める.さらに,変数を構造化し,東海地区内のニュータウンに適合可能なモデル構築の可能性について,構造方程式モデリングにより考察する.
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Causes of Carryover |
2023年度は,妥当な調査・分析のため,文献研究の必要性を見直し,地域診断手法に関するレビューを行うこととした.このプロセス自体も,総説等の形で,本研究活動を通して得られた知見として,学会発表及び論文化を2024年度に行う予定である.
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