2022 Fiscal Year Research-status Report
パンデミック状況下におけるICTを活用した自殺予防アプローチの開発
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22K11280
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
児玉 豊彦 産業医科大学, 産業保健学部, 講師 (10549166)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 明弘 東洋英和女学院大学, 人間科学部, 教授 (10387350)
橋本 健志 神戸大学, 保健学研究科, 教授 (60294229)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | COVID-19 / 新型コロナ / 自殺 / メンタルヘルス / ICT / オンライン |
Outline of Annual Research Achievements |
パンデミック状況下における効果的な自殺対策を検証するために、まずはCOVID-19の流行がメンタルヘルスに与えた影響についていくつか調査を行った。 労働者を対象とした調査では、COVID-19流行時の職場での感染管理の実践と労働者の精神状態との関係を明らかにした。対象者の15.3% が精神的苦痛を示し、これには、休業の指示、営業時間短縮の指示、および症状がある場合の休職の要請が関連していた。 精神科訪問看護ステーションを利用する地域の精神障がい者に対する調査も実施した。訪問看護ステーション管理者374名から回答を得られ、31.4% のステーションが、COVID-19 の蔓延により精神疾患を持つ利用者のメンタルヘルスが悪化したと報告した。8割以上のステーションが感染対策について利用者に説明したが、6割近くのステーションが、利用者が清潔行動を実践するのが難しいと回答した。 また、児童発達支援および放課後等デイサービスを利用している児童の精神状態についても調査を実施した。調査を依頼した事業所の児童発達支援管理責任者259名から回答を得ることができた。COVID-19感染拡大により利用児童の精神状態が不安定となった、また悪化したと答えた事業所は67件で、悪化した症状の内容で最も多かった項目は、「不安が強くなった」で7割以上が回答し、次いで「いらだちやかんしゃくが増えた」、「通所することが難しくなった」であった。 これらの研究の成果のいくつかは学会発表で報告し、学術雑誌に論文が掲載された。 さらに地域で様々な支援活動を行っている支援者にも活動の現状について聞き取りを行った。その結果、SNSやICTの活用、同じ興味を持つ人たちとのネットワーク作りが重要であることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
OVID-19の流行がメンタルヘルスに与えた影響について明らかにすることができた。これらの結果をもとにパンデミック状況下における効果的な自殺対策を検証していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究成果を参考にICTを活用した具体的な自殺対策を構築していく。その後、自殺のハイリスク者を対象とした地域での支援活動を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染の流行の影響で、学会参加や打ち合わせ等の旅費を使用することがなかった。また、プログラム作成のための予備調査がネットでできたために交通費の発生が出なかった。さらに印刷物なども電子ファイルで今回は代替できたために特段に支出が生じなかったため。 使用計画として、研究打ち合わせおよび学会参加等のための旅費、学会参加費に充てる。また、オンラインサロンの開設を予定しており、その会場代および外部講師の謝礼に充てる。
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Research Products
(4 results)