2022 Fiscal Year Research-status Report
ミトコンドリア機能の改善による敗血症多臓器不全の回避・早期リハ介入の検討
Project/Area Number |
22K11283
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
下條 信威 筑波大学, 医学医療系, 講師 (20462210)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ミトコンドリア機能 / 敗血症 / 敗血症性心筋症 / 親近培養 |
Outline of Annual Research Achievements |
世界的にも依然として高い致死率を呈する敗血症について、その重症化のメカニズムとミトコンドリアの機能不全の関与を明らかし、ミトコンドリア機能の保持と回復が敗血症治療に貢献することを証明する。特に敗血症の合併症として、亜急性期に発症する敗血症性心筋障害について、その治療効果を示すことが目的である。 本研究の独創性はML1ポリアミド(特許5865347)と呼ばれる物質を用いることであり、その創造性はそれにより重症患者の心臓合併症による死亡を予防することにある。敗血症においてミトコンドリア機能の障害が根本的な障害部位として示唆されている中で、共同研究者の作成した薬剤ML1ポリアミドは正常なミトコンドリア遺伝子D N Aの複製を促進する作用を有する。元々はミトコンドリアの機能不全により短命となってしまう小児疾患であるミトコンドリア病(MELAS)を治療ターゲットとして開発されている薬剤である。しかしながら、前述のような感染に伴いミトコンドリア機能の障害が前面に現れる敗血症においても、正常なミトコンドリア遺伝子D N Aの複製を促進することは敗血症の根本的な治療となりうると考える。本研究においては敗血症マウスモデルにおいてML1ポリアミドを投与した際の各臓器及び免疫細胞でのミトコンドリアの障害度を観察することを目的とする。我々(研究協力者荒井ら)はin vitroおよびin vitroにおいてミトコンドリアのDNAの発現量のよってML1ポリアミドの効果を確認している。 以下のプロジェクトに沿って研究を進めている。 プロジェクト①:観察研究:筑波大学附属病院で敗血症と診断された患者の心機能評価、プロジェクト②:心筋培養細胞を用いたin vitroデータの解析、プロジェクト③:敗血症モデル動物による分子病態・病理的研究
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
プロジェクト①:観察研究:筑波大学附属病院で敗血症と診断された患者の心機能評価 プロジェクト②:心筋培養細胞を用いたin vitroデータの解析 プロジェクト③:敗血症モデル動物による分子病態・病理的研究 プロジェクト①については、後ろ向きに2020年4月1日から2023年3月31日までの3年間でデータを収集した。筑波大学附属病院救急・集中治療科への入院患者は2040例で、重症病棟(ICU・HCU)入院は、756例(37.1%)であった。そのうちDPC病名で敗血症の診断がついたのは、75例(9.9%)であった。その中で敗血症性心筋症の診断の付けられた例は0であったが、左室駆出率(EF)の軽度以上の低下(<55%)を有した症例は15例で、敗血症患者の20%に潜在的な心機能低下を合併している可能性がある。 プロジェクト②については、細胞培養の準備を進めている。生後2日のラットの心臓を摘出し、collagenaseで分解し、培養に落とした。リポポリサッカライド(LPS)を投与し、コントロールとの比較で、TNF-αの5000倍以上の上昇を細胞内mRNAとタンパク質レベルで確認し、敗血症性心筋症モデルの培養心筋細胞を確定した。今後、ML-1投与群を作成し、ミトコンドリア機能測定を中心でデータを出していく。 プロジェクト③については、プロジェクト①②の結果を踏まえて、詳細な計画を作成していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
プロジェクト①:観察研究:筑波大学附属病院で敗血症と診断された患者の心機能評価 プロジェクト②:心筋培養細胞を用いたin vitroデータの解析 プロジェクト③:敗血症モデル動物による分子病態・病理的研究 プロジェクト①については、さらにサブ解析をすすめ、敗血症性心筋症の定義を確定し、当初の計画より進めて、可能であれば前向き研究によるデータ収集を検討する。本年度半ばまでに倫理審査を通すことを目標とし、翌年までの1年間あるいはそれ以上のデータを集めることを目指し、計画を進める。プロジェクト②のデータを用いて、LPS投与ラットモデル、盲腸結紮穿刺(CLP)モデルを作成・確立し、プロジェクト③の準備を進める。モデルの安定性も考慮し、作成後体温経過などを観察後に有効なモデルを選別することを考える。さらに、糞便懸濁液を腹腔内あるいは気管内への投与モデルなど最近の報告も参考に安定したモデル確立を行っていく。
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Causes of Carryover |
培養研究において既存の装置での代用でまかなえた。 測定機器の購入が済んでおらず、次年度に回すことを考えている。
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