2022 Fiscal Year Research-status Report
老化初期からの歩行機能低下の改善:脳ミトコンドリア機能改善による介入法の検討
Project/Area Number |
22K11306
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital and Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
井上 律子 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (20583826)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 老化 / 運動機能 / 歩行 / 皮質運動野 / ミトコンドリア / コエンザイムQ10 |
Outline of Annual Research Achievements |
加齢に伴う歩行変化は、転倒リスク上昇との関連が示唆され、高齢者の要介護の要因とな る危険性が高い重要な老化現象である。ヒトやげっ歯類では、中年期からこの歩行変化が生じることが報告されてきている。この歩行変化による歩行機能低下のメカニズムを明らかにし、機能改善のための介入法を確立する上で、動物実験は有効であると考えられる。これまで、老化初期に相当する中年マウスで低下する一部の運動機能と皮質運動野の神経活動がミトコンドリア補酵素・コエンザイムQ10投与により回復する機序を明らかにしてきた。本研究では「老化初期の脳ミトコンドリア機能の改善は、加齢に伴う歩行機能低下も改善する」という仮説を立てた。 老化初期に相当する中年動物の歩行変化の研究は多くはなく、歩行指標の検討が十分に行われているとは言い難い。2022年度は、自然老化動物を用いて歩行指標の加齢変化を自然歩行解析システム(CatWalk XT)により計測する実験系を確立させた。若年と中年マウスの比較においてどの歩行指標が変化するか、さらに水溶化CoQ10投与の効果を検証中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CatWalk XTを用いた予備実験において、老化マウスの歩行指標の変化がみられることは確認されていたが、統計的に十分なサンプルサイズで実施してみると測定に注意が必要であることが明らかとなった。本研究ではマウスがストレスを受けずに自然に歩行することが必要であり、安定したデータを得るためのHabituationの工夫などのプロトコルの確立、装置の設定条件の確定に時間がかかった。現在は安定したデータ取得ができており、取得したデータの解析を進めている。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初計画通り推進する。また当初計画では性差について検討していなかったが、昨今の状況より雌のデータ取得も要求される可能性が高い。必要に応じて今後検討する。
|
Causes of Carryover |
初年度の消耗品等の購入が当初計画より少なく済んだため、次年度使用額が生じた。翌年度分と合わせ、試薬等の消耗品、学会参加費、論文発表等の費用として使用する。
|
Research Products
(6 results)