2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of Finger Rehabilitation Device with Using Super-Elastic Alloy and Its Clinical Tests
Project/Area Number |
22K11326
|
Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
原口 真 大阪工業大学, 工学部, 講師 (80467547)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 圭二 福井医療大学, 保健医療学部, 教授 (20446157)
金森 雅幸 福井医療大学, 保健医療学部, 非常勤講師 (60941961)
酒井 涼 福井医療大学, 保健医療学部, 助教 (80771857)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | リハビリテーション機器 / 超弾性合金 / 手指動作訓練 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究においては,脳卒中重度麻痺患者を主な対象として,超弾性合金の弾性によって患者の手を開く動作をアシストする装着機器を開発している.装着機器(以下,装具と略す)を開発するにあたって,3つのテーマを同時並行させている.すなわち,1)装具本体の設計,2)装具の耐久試験機の設計,3)手指動作検知センサの開発,の3つである. 1)装具本体の設計テーマにおいては,母指(親指)のための装具,母指を除いた残り4つの指のための装具の2種類を開発している.母指(Thumb)は解剖学的に母指以外の4指(Finger)とは異なる構造をしているため,このように2種類の装具を開発している.母指は特に指の根元部分に存在するCM関節が特殊であるので,手甲部分に取り付ける母指根本部分に2自由度のジンバル機構を設けることとしている.先端にはシンプルな直線形状のSMAを取り付ける. 2)装具の耐久試験機の設計テーマにおいては,人間の手指を模したロボットの開発を行っている.実際の臨床評価においても耐久試験となるのであるが,装具が壊れることによって患者に危害を加えてはならないので,耐久試験機を製作している.設計段階で十分な安全設計を行っているが,想定外のことが起こることは往々にしてあるため,このような耐久試験機を用意することは肝要である.可能であれば,加速試験機とすることも想定している. 3)手指動作検知センサの開発テーマにおいては,装具の曲げを電気的に感知することが可能な,装具と一体型のセンサを開発している.このセンサによって手指の握り開きを検知できるようになると,モニタに映したゲーム性の高い手指訓練ソフトウェアと連動できる様になり, 患者がモチベーション高く訓練することが可能となる.曲げセンサの原理としては,超弾性合金が変形した際の電気抵抗変化を確認することで,曲がったかどうかを判断する.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3つのテーマについて,より具体的にそれぞれの進捗状況を述べる.まず,1)装具本体の設計テーマにおいて,手甲につける装具の強度を高める作業を進めている.装具を作るにあたって,手甲形状に適合させるために曲線を多用した形状でかつ軽量な部品を安価に製作するには,3Dプリンタが必要不可欠である.現在の装具はPLA(ポリ乳酸)で成形しているが,強度が不十分である.そこで,エンジニアリング・プラスチックを押し出すことのできる3Dプリンタを購入した.当初はPOM(ポリアセタール,ジュラコン)を使用する予定だったが,温度条件やシートなどを様々に変えても精度よく成形することができなかったため,PC(ポリカーボネート)に切り替えた.ポリカーボネートであれば,精度よく部品を成形できた. 2)装具の耐久試験機の設計テーマにおいて,現在,母指を模したロボットの設計を進めている(母指ロボットが完成した場合,母指以外の4指を模したロボットは容易に設計できると予想される).ロボットは母指根本部分にYaw 回転とRoll 回転を設け, CM 関節に対応させるようにした.各関節にはベアリングを設けている.骨に相当する部品にはプーリを搭載し,ワイヤを通して駆動できるように設計した. 3)手指動作検知センサの開発テーマにおいて,開発センサは手を開く動作を補助するための超弾性合金とは別に,より直径の細い超弾性合金を装具上部に沿うようにして取り付けることとした.センサに使用した超弾性合金は直径0.075mm である.当初は手を開く動作をアシストしている超弾性合金(直径は0.8mmなど)をセンサとしても使用することを考えていたが,ホイートストーン・ブリッジや差動増幅回路を使用しても,抵抗変化を確認することが出来なかった.0.075mmであれば,単純な分圧回路でも手指の曲げを検知することができる.
|
Strategy for Future Research Activity |
1)装具本体の設計テーマにて,研究分担者により開発装具での臨床評価は随時進められており,臨床で使用する際の不具合は常に研究代表者へとフィードバックされている.例えば現在の母指装具は右手用であるが,左手用が無いため左半身麻痺の患者に使用することが出来ない.左手用の装具の開発を進める.その他,装着性能についても臨床評価において不具合が報告されているので,改良を進めていく. 2)装具の耐久試験機の設計テーマにて,2022年度で骨格はできあがったので,筋肉に相当するワイヤとモータの配置を考えなくてはならない(現時点でワイヤを手動で動かすことにより機構が多自由度で動かせることは確認している).モータは光学式エンコーダによって位置制御する.母指ロボットの材料は試作のために,装具の材料と同じポリカーボネートで設計を進めているが,実際に耐久試験機として使う場合は,アルミ合金化することを想定している(2000番台使用を想定). 3)手指動作検知センサの開発テーマにて,センサに使用している超弾性合金は細いがために,使用の際に切れてしまう場合があるため,太くすることを考える.2022年度のセンサの研究では,太い径の超弾性合金では抵抗変化を確認することが出来なかったが,回路設計の不具合などが考えられるので,再度,抵抗測定実験を進める.また,直線形状の超弾性合金の抵抗測定しか測定していないので,様々な形状で成形した場合の超弾性合金の抵抗変化がどのようになるかも検証する. 超弾性合金センサのみだと手指の握り開きしか検知できないため,連動できる訓練ソフトの自由度が減ってしまう.Webカメラによる手の位置認識も進める.開発環境はOpenCVで行っている.超弾性合金センサによる手指の握り開き認識とWebカメラでの手の位置認識を複合させて,手指動作訓練システムを構成する.
|
Causes of Carryover |
研究代表者と研究分担者2名は順当に予算を執行していたが,研究分担者1名が予算を使用しなかったため,次年度使用額が生じている.これは購入を予定していた物品が想定よりも高価であったためである.当該年度の金額を次年度の金額に合算した予算で,購入を進めてもらう.
|
Research Products
(1 results)