2023 Fiscal Year Research-status Report
細胞外マトリックス分子に着目した神経可塑性制御による神経発達障害の治療薬の開発
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22K11330
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Research Institution | Kawasaki University of Medical Welfare |
Principal Investigator |
上野 浩司 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 准教授 (60725068)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 優 川崎医科大学, 医学部, 講師 (40551049)
石原 武士 川崎医科大学, 医学部, 教授 (60335594)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 細胞外マトリックス / 可塑性 / マウス / 中枢神経系 / 行動実験 / 臨界期 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞外マトリックス分子(ECM)は神経可塑性を制御する と考えられているが,その詳細はほとんど調べられていない。現在まで,神経可塑性を制御するものとして主に神経伝達物質やその受容体,シナプスやスパインが集中的に調べられてきたが,神経可塑性を制御する方法などは見つかっていない。中枢神経系における細胞外マトリックス分子は,ヒアルロン酸,コンドロイチン硫酸プロテオグリカン,リンクプロテイン,糖タンパク質などから構成されている。中枢神経系における細胞外マトリックス分子は発達期において神経細胞の分化や移動の誘導,酸化ストレスから神経細胞を保護する機能をもつことが示されている。特に、中枢神経系(CNS)の神経細胞体と近位樹状突起を取り囲む特殊な ECM 構造である神経周囲ネット(PNN)は、神経の可塑性を制御する。PNNにおけるどの分子がその機能をもつかは明らかではない。我々は老化促進モデルマウス(SAM)のSAMP10系統のPNN上のCat-315陽性分子の発現が減少していることを発見した。Cat-315陽性分子が脳の可塑性に関連していることが推測された。Cat-315陽性分子の発現を変化させる化合物の発見が神経可塑性制御に繋がると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
中枢神経系における細胞外マトリックス分子の発現は多数ある。その中で神経の可塑性を制御する分子の研究に予想より時間がかかった。さらに,マウスの飼育スペースの確保に時間を要した。しかし,次年度は当初の計画通りに実験を進められる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
中枢神経作用薬による神経可塑性増加によるマウス行動の解析を主に進めていく。中枢神経作用薬のうち神経可塑性を高める可能性のある薬,そのような報告のある薬である「フィンゴリモド,ドネペジル,アビシジン等」を成熟個体である10ヶ月齢のマウス(C57BL/6)に28日間腹腔内投与を行う。28日後,生理食塩水を投与したコントロールマウスと比較して神経可塑性,行動柔軟性の変化を調べる。行うマウス行動実験は新規オブジェクト探索試験,バーンズ迷路試験,Y迷路試験,社会性試験,パッシブアボイダンス試験等である。行動実験終了後,無作為に各グループから10匹選び麻酔処置後に脳を即時取り出し,前頭連合野,正中・頭頂領域,体性感覚野,運動野,海馬を切り出してタンパク質を抽出する。ウェスタンブロッティングとELISA法を使用して各種細胞外マトリックス分子の発現量を解析する。
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Causes of Carryover |
実験動物であるマウスを使用した実験の開始が少々遅れており、今年度で使用する費用が少なくなった。さらには、使用期限の短い試薬キットや免疫染色の試薬などの購入を次年度にすることにしたために次年度使用額が大きくなっている。次年度使用額は情報収集を行うための学会旅費や成果発表を行うための学会旅費、特注の行動実験機器の購入,試薬キットの購入に充てる計画である。
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