2022 Fiscal Year Research-status Report
老化関連遺伝子導入による細胞老化の誘導と老化細胞除去薬の探索
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22K11333
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital and Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
滝野 有花 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (60929636)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 老化 / 老化関連遺伝子 / 老化細胞死誘導剤 / 肝臓実質細胞 / 細胞老化 |
Outline of Annual Research Achievements |
若齢動物の組織には本来の細胞機能を持つ正常な「若い細胞」のみが存在する.一方,老齢動物の組織には細胞機能が衰退,異常化した「老化細胞」が存在し,加齢に伴いその数も増加することが予想される.私たちは,ラット肝臓実質細胞を用いた「包括的1細胞トランスクリプトーム解析」により,老齢で高発現している3種類の老化関連遺伝子を同定した.本研究では,若齢マウス肝臓実質細胞にこれら3種類の老化関連遺伝子を導入,高発現させて細胞老化を誘導するか明らかにする.同定した老化関連遺伝子の導入により若齢マウス肝臓実質細胞に細胞老化が誘導できれば,老化の機構解明に繋がる. 本年度,3種類の老化関連遺伝子を導入する前に,細胞老化より見出された老化関連遺伝子,サイクリン依存性キナーゼ阻害因子Cdkn2aのアイソフォームであるp16INK4aを若齢マウス由来初代培養肝臓実質細胞に過剰発現させ,DNA損傷に及ぼす影響を調べた.すなわち,6月齢のC57BL/6J雄マウスから肝臓実質細胞をコラゲナーゼ灌流法により単離,培養した.そして,マウスp16INK4aと改良型緑色蛍光タンパク質EGFPの遺伝子を組み込んだ発現ベクターをLipofectamine 3000を用いて肝臓実質細胞にトランスフェクションした.その結果,EGFP陽性細胞及びp16INK4a発現量の測定により,p16INK4aの過剰発現を確認した.また,p16INK4aを過剰発現させた肝臓実質細胞では,mock細胞に比べγ-H2A.X陽性核の割合が高かった.ヒストンH2A.Xのリン酸化体であるγ-H2A.Xは,DNA二本鎖切断によるDNA損傷の指標として用いられる.このように,6月齢マウスの肝臓実質細胞にp16INK4aを過剰発現させると,DNA損傷が高くなることがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に記載した内容を順調に行うことができた。また、非常に興味深い結果も得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究は概ね順調に進展している。現在、研究計画に変更や解決すべき課題等は特にない。
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Causes of Carryover |
初年度、遺伝子組換えマウスの作出を予定していた。しかし、導入ベクターのデザインと作成に時間がかかってしまったため、次年度の発注、予算執行となった。遺伝子組換えマウスの作出依頼は、完了している。
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