2022 Fiscal Year Research-status Report
Does tendon harvesting affect the muscle strength and movement after anterior cruciate ligament reconstruction
Project/Area Number |
22K11336
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
仙石 拓也 金沢大学, 附属病院, 理学療法士 (00894403)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中瀬 順介 金沢大学, 附属病院, 助教 (50584843)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 前十字靭帯損傷 / 移植腱 / 大腿四頭筋筋力 |
Outline of Annual Research Achievements |
前十字靭帯(Anterior Cruciate Ligament: ACL)損傷後のスポーツ復帰には、安定した膝関節機能の再獲得が必要でありACL再建術が施行される。再建術に用いられる移植腱には、大腿四頭筋腱や膝蓋腱、ハムストリング腱などが挙げられる。近年、大腿四頭筋腱はハムストリング腱と比較して組織学的に強度が高く、膝蓋腱よりも術後合併症が少ないことが明らかになっており、世界的に注目度が高い状況にある。その一方で、大腿四頭筋腱は膝関節伸展機構であるため、術後の大腿四頭筋筋力の回復に難渋するケースが存在し、一つの問題点と言える。本研究の目的は、ACL再建術に用いる移植腱(大腿四頭筋腱とハムストリング腱の比較)により術後の大腿四頭筋の筋活動にどのような影響を与えるか、多点筋電図を用いて明らかにすることである。本研究の測定は術後4および7カ月に実施しており、縦断的に大腿四頭筋筋力の回復経過を追っている。令和4年度には術後4カ月に8名、術後7カ月に7名の測定を行った。令和4年度に、当院のACL再建術の術式の変更があり、対象症例が一部変更となったため、ややデータの収集が遅れている状況にある。しかし、下半期に入ってからは対象症例は増加し、現在は安定してデータ収集を行えているため、現状のペースでデータ収集を継続していく。また、データ解析も開始しており、使用した移植腱や時期的な回復経過を踏まえ、大腿四頭筋の筋活動時の運動単位や発火頻度、筋収縮速度などの変化を詳細に捉えていく予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
進捗状況がやや遅れている理由として、コロナウイルスによる手術枠の減少により、関連病院で手術を行う症例が増えたことが挙げられる。現在は、手術枠は通常に戻っているため、今年度以降は症例数は予定通りに増やしていくことができると考える。 また、本研究は主に、ハムストリング腱を用いた前十字靭帯再建術患者を対象とした調査を実施する予定であった。しかし、大腿四頭筋腱を用いた前十字靭帯再建術が世界的なトピックとなり、当院でも大腿四頭筋腱を用いた前十字靭帯再建術患者が激増した。その結果、当初予定していた、ハムストリング腱を用いた手術を行った患者は減少したため、症例数の確保に難渋している。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初はハムストリング腱を用いた前十字靭帯再建術のうち、半腱様筋腱のみではなく、薄筋腱を追加採取することにより、ハムストリングスの筋活動がどのように変化するのかを調査する予定であった。しかしながら、世界的に大腿四頭筋腱を用いた前十字靭帯再建術がトピックとなり、当院の手術症例においても大腿四頭筋腱を用いることが激増し、ハムストリング腱を用いる症例が減少した。今後の方針としては、大腿四頭筋腱を用いた前十字靭帯再建患者を対象に追加し、大腿四頭筋の筋活動の変化も調査していくこととした。 また、筋活動の評価は、当初予定していた単電極の筋電図ではなく、より詳細なデータを得ることができる多点筋電図を用いた筋活動の評価を行っている.その結果、当初予定していた筋活動の波形や筋出力のみでなく、運動単位や筋収縮速度といったより詳細なデータを得られる環境にある。多点筋電図を整形外科分野に応用した研究はほとんどないため、本研究の新規性はかなり向上したものと考える。
|
Causes of Carryover |
コロナの影響や当院での術式の変更により、当初していた段階よりも研究の進行状況が遅くなってしまったため、使用額が予定よりも少なくなった。また、前述に加え現段階での物品の必要経費が予定よりもやや安価に収まっている。2023年度は、症例数の増加が見込まれること、また英語論文の執筆も予定しており、予定よりもやや多い支出が見込まれる。
|