2023 Fiscal Year Research-status Report
運動療法による腎障害の進行抑制の機序の解明:乳酸の役割
Project/Area Number |
22K11377
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
小川 佳子 帝京大学, 医療技術学部, 准教授 (90733791)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 慢性腎臓病 / 腎臓リハビリテーション / 運動療法 / 骨格筋 / 乳酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
長期的運動は腎保護作用を有していることが慢性腎臓病(chronic kidney disease: CKD)モデル動物を用いた研究で明らかになってきている。また、長期的運動の腎保護作用のメカニズムには腎臓内でのポジティブな変化が関与している可能性が示されている。しかし、なぜ継続的に運動をすると腎臓内でのポジティブな変化が起こるのかということについては明らかになっていない。そこで、本研究では運動時に骨格筋より血中に分泌される乳酸(乳酸塩、lactate)に着目し、乳酸が腎臓に及ぼす影響をCKDモデル動物のひとつであるDahl食塩感受性高血圧ラットを用いて検討することとした。 まず、外因性に投与する乳酸の用量を決定するため、トレッドミル走施行時の血中乳酸濃度の測定をおこなった。トレッドミル走は長期的運動の腎保護作用を検討した先行研究と同条件(20m/分、傾斜0度)で実施した。トレッドミル走時の血中乳酸濃度はおよそ6mMであった。 次に、外因性に乳酸ナトリウムを投与したときの血中乳酸濃度の測定をおこなった。1,350mg/kg体重の乳酸ナトリウムを腹腔内投与したときの血中乳酸濃度は投与30分後がおよそ13.0mM、60分後がおよそ8mMであった。 続いて、ラットを通常食塩食群、通常食塩食+乳酸ナトリウム投与群、高食塩食群、高食塩食+乳酸ナトリウム投与群の4群に分け、高食塩食群には8%NaCl含有の高食塩食を与え、乳酸ナトリウム投与群には1,350mg/kg体重の乳酸ナトリウムを週5回腹腔内投与した。介入は4週間行い、収縮期血圧測定を介入前・介入2週目・介入後に、蓄尿を介入前後に実施した。4週間の介入後に解剖し、採血と腎臓摘出を行った。高食塩食は収縮期血圧を上昇させたが、乳酸ナトリウム投与による明らかな影響は通常食塩食群、高食塩食群のいずれにおいても認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
動物飼育や実験を開始するための環境が整わず、令和4年度に思うように研究を進められなかったため、研究実施が予定よりもやや遅れてしまっている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度実施した介入実験にて採取した尿、血液、腎臓サンプルの解析を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
令和4年度に計画した研究が思うように進められず、令和5年度への繰越額が生じたため、次年度使用額が生じた。繰り越しとなった助成金は動物購入、動物飼育のための費用、検体分析、論文作成、学会発表等に使用する予定である。
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