2022 Fiscal Year Research-status Report
血流と代謝状態を維持した骨格筋のX線回折法による伸張性収縮後の筋節内微細構造評価
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22K11378
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
平野 和宏 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (40874821)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中原 直哉 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (10632193)
竹森 重 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (20179675)
山口 眞紀 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (30271315)
山内 秀樹 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (60220224)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 骨格筋 / X線回折 / 伸張性収縮 / 筋肥大 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はこれまで、伸張性収縮収縮(ECC)をリハビリテーションに応用するために、強度と反復回数を変化させてECCの効果を比較してきた。その中で、低強度のECCでも収縮回数を増やして張力の積分値(張力-時間積分値)を増やすことでサルコメアの微細構造を悪化させずに筋肥大の生化学的プロセスをうまく誘発することを発見した。しかしながら、張力-時間積分値を揃えた場合、最大張力が異なればサルコメア微細構造に及ぼす影響やシグナル伝達の効果も変化する可能性がある。そこで今年度は、標準化された張力-時間積分を用いて最大張力と収縮様式がタンパク質シグナル伝達とサルコメア微細構造に及ぼす影響を検討することとした。7週齢の健常ラットの血液灌流を維持した足底筋を、対照群(CON)、等尺性収縮群(ISO)、低強度ECC群(L-ECC)、高強度ECC群(H-ECC)に分類し、低強度ECC群では刺激周波数を50Hz、高強度ECC群では刺激周波数を100Hzとした。L-ECC筋には0.3秒間の強縮刺激を3秒ごとに30回反復した。ISOとH-ECCはL-ECCと張力-時間積分値が一致するように反復回数を調整した。それぞれの収縮負荷後に筋を摘出し、Western blottingにてシグナル伝達を評価し、スキンドファイバーを作成してX線回折でサルコメア構造を評価した。mTORC1とMAPKは、CONとISOよりL-ECC、H-ECCで有意に活性化していた。また、MAPKファミリーのSAPK/JNKの活性化は、L-ECC、H-ECCとの相関が認められ、収縮様式(ECCで有意)への依存性を認めた。H-ECC筋でも微細なサルコメア構造はよく保存されていたが、トロポニンの反射強度は低下しており、H-ECCではトロポニンの周期性の乱れが示唆された。このことは、トロポニンが筋肥大に効率的につながるECCの瞬間的なひずみ (最大張力) に主に応答するサルコメアのメカノセンサーシステムを構成するという以前の仮説を支持しています。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
スキンドファイバーにおける標準化した張力-時間積分値を用いて、最大張力と収縮様式がタンパク質シグナル伝達とサルコメア微細構造に及ぼす影響が明らかになってきた。そのため、今年度はスキンドファイバーの実験を進めることとした。
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Strategy for Future Research Activity |
①尾部懸垂モデルに対する伸張性収縮が、タンパク質シグナル伝達とサルコメア微細構造に及ぼす影響をスキンドファイバーを用いて評価する。 ②伸張性収縮負荷後における、血流を保った“生きたまま”のin vivo骨格筋標本を用いて、X線回折法でのサルコメア微細構造評価を進める。
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Causes of Carryover |
実験機器作製や実験の一部を来年度に繰り越したため。
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Research Products
(1 results)