2023 Fiscal Year Research-status Report
随意運動が疼痛抑制を生じさせる神経メカニズムの時空間的解析
Project/Area Number |
22K11394
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
菅原 和広 札幌医科大学, 保健医療学部, 教授 (10571664)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澤村 大輔 北海道大学, 保健科学研究院, 教授 (20734750)
齊藤 秀和 札幌医科大学, 保健医療学部, 助教 (70610369)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 随意運動 / 体性感覚入力 / 脳波 / 脳磁図 / 機能的磁気共鳴画像装置 / 疼痛抑制 |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請課題は,随意運動による末梢感覚入力の抑制に着目し,脳磁図・脳波といった時間分解能に優れる脳活動計測装置と空間分解能に優れる機能的磁気共鳴画像装置を使用して,随意運動による疼痛抑制の神経メカニズムを時空間的に解析することである.最終目標としては,以上の非侵襲的脳計測装置から得られた知見を活かし,疼痛刺激に対する効果的な随意運動強度および随意運動方法を構築することである. 2023年度では,一次体性感覚野を変動させる随意運動課題を調査することを目的に脳波計を用いて1)運動学習過程における短潜時SEPの変化,2)運動準備期における中・長潜時SEPの変化,3)運動時における長潜時体性感覚誘発電位の計測を行った.1)では巧緻運動の反復運動後であっても体性感覚野の活動減少量に変化は認められなかった.これは,反復練習前では巧緻運動中では高い筋活動量を示したことから,一次運動野から体性感覚刺激に対しての抑制作用によってgatingが生じたと考えられた.一方,反復練習後では巧緻運動中の筋活動量が減少したことから,一次運動野からの抑制作用は減少したことが考えられる.しかし,運動課題の反復により運動学習に関わる運動関連領野の興奮性増大と巧緻運動にかかわる手・手指からの感覚入力増加によって一次体性感覚野の活動量減少が生じたと考えられる.2)では,Ring電極による皮膚刺激による反応課題を用いて運動期における体性感覚野の活動変化を調査し,皮膚刺激部位に関わらず運動を控えた施行において中潜時SEP(N140)振幅が大きくなることが明らかになった.また,3)では運動時においてのみ長潜時体性感覚誘発電位(P300)が大きくなった. 1)~3)の研究成果から,随意運動によって一次体性感覚野の活動は増加も減少もし,その増減は時間(成分)特性があることが明らかになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度までに随意運動時における脳活動変化のプロセスおよび運動課題と体性感覚野の変動について詳細に調査することができた.しかし,疼痛刺激誘発による脳活動変化と,随意運動を組み合わせた疼痛刺激誘発については実施できていない.これまでの我々の研究成果と2023年度までの研究成果から,筋収縮強度の増加,巧緻性運動,運動の反復練習によって体性感覚野が減弱することが分かっているため,2024年度では実際に疼痛刺激誘発を行い,以上の運動課題によって疼痛関連脳活動がどのように変化するかを詳細に調査する予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
これまで実施した研究において,運動課題の種類と運動時の脳活動プロセスに神経刺激および皮膚刺激時の一次体性感覚野の活動について潜時別のデータを取得することができた.また,計測機器の特性やノイズレベルについての知見も得ることができた.2024度では,これまで通り時間分解能に優れる脳波・脳磁図を用いて随意運動による感覚抑制についての調査を進め,それと同時に空間分解能に優れる機能的磁気共鳴画像法(fMRI)を用いることで運動と感覚抑制機構の詳細を明らかにできると考えられる.また,疼痛刺激によって交感神経性の変化が生じることが予想されるため,血管変化や頭皮血流量の変化についても調査および検討を進めていく予定である.その一方で,各脳計測機器のシールドルーム内で使用できる刺激装置が限局されるため,これまでに得られた知見を基に刺激装置に工夫を加える必要があると考えられる.
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Causes of Carryover |
これまでの年度において,本申請課題で必要となる備品は購入することができた.しかし,昨今の精密機器価格の高騰により,当初購入予定であった疼痛刺激装置を予算内で購入することができない状況となってしまったため,研究実施に関連する機器や備品の購入に要する費用を次年度に繰り越すこととなり,次年度使用額が生じた.次年度は疼痛誘発刺激関連装置に加え,脳機能計測に関連する機器備品の購入,機能的磁気共鳴画像の撮像に際しての被験者謝金や学会発表,論文執筆に関連する費用として使用する予定である.
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Research Products
(6 results)