2022 Fiscal Year Research-status Report
消化器がん術前サルコペニアに対する在宅リモートリハビリテーションの導入
Project/Area Number |
22K11438
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
山辻 知樹 川崎医科大学, 医学部, 教授 (40379730)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉山 岳史 川崎医科大学, 医学部, 講師 (20412207)
杉本 研 川崎医科大学, 医学部, 教授 (20437403)
石田 尚正 川崎医科大学, 医学部, 講師 (80805896)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 術前リハビリテーション / サルコペニア / 消化器がん |
Outline of Annual Research Achievements |
消化器がん術前のサルコペニアに対する運動療法介入が、術後合併症の減少や予後の改善につながると考え、サルコペニアを対象とした運動介入後の術後合併症および予後に対する影響を解明し、新たに在宅リモート形式での術前運動介入の実現可能性を探る。 研究①術前運動によるサルコペニア改善と術後合併症および予後の改善:サルコペニア基準である筋量、筋力、身体機能低下を満たした70歳以上の高齢食道・胃がん患者に対して術前運動および栄養介入が合併症の減少や予後改善に寄与する可能性を検討する。在宅での術前運動および栄養介入を開始、術前入院時に身体機能の評価、BIA法を用いた体成分分析装置InBodyによりskeletal muscle index(SMI)を算出し、これらを初診時と比較する。患者へのアンケートInternet of Things(IoT)を用いて運動療法のフィードバックを行う。術後はサルコペニア改善群、サルコペニア非改善群における術後合併症の種類と頻度を比較し、短期予後についても検討する。 研究②サルコペニア改善を目的にした術前運動療法として、在宅でのリモートリハビリテーションプログラムを導入する。インターネット経由のリモート形式で術前運動および栄養介入を行い、iPadあるいはスマートフォンを用い双方向対話形式でフィードバックを行う。術前患者に外来初診時から指導を開始し、在宅でリモートリハビリテーションを実践できる安全で継続可能なプログラムを導入し、高齢患者でも実施可能な忍容性および安全性を検討する。研究③サルコペニア改善が可能なサルコペニア指標の下限値および関連因子の解明:筋量、筋力、身体機能、運動習慣、サルコペニアの経時変化により群分けして測定することにより、運動療法の介入が可能なサルコペニア指標の下限値および関連因子について検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に従い2022~2023年の研究初年度は、研究①術前運動によるサルコペニア改善と術後合併症および予後の改善について、高齢者消化器がん術前の患者に対して、本研究への参加の同意を得て研究を開始している。2023年4月時点で5名の消化器がん術前患者に研究参加の同意を得た。内訳は食道がん4名、胃がん1名、男性:4名、女性:1名、平均年齢:80.8±5.4歳である。外来においてサルコペニア基準である筋量、筋力、身体機能低下を評価したところ、サルコペニアと診断された患者は2名であった。術前外来にてリハビリテーションを導入し、術前に介入効果について再評価を行った。研究②サルコペニア改善を目的にした在宅リモートリハビリテーションプログラムの導入:術前にリモート形式のセルフエクササイズの介入期間を2週以上確保できる患者については、在宅でのリハビリテーションを実施し、患者との双方向対話によってフィードバックを行い、術前運動プログラムおよびその運動の安全性および忍容性の解析を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究①術前運動によるサルコペニア改善と術後合併症および予後の改善 70歳以上の高齢者消化器がんとして、サルコペニアをきたしやすいとされている食道がんおよび胃がんを中心に患者を選定し、研究への同意を得て登録を行っているが、サルコペニアの診断基準に合致した患者は40%であり、介入対象となる症例数が少ない。今後はさらに外来で高齢者消化器がん患者のスクリーニングを積極的に行い、登録症例数を増やすことを目指す。 研究②サルコペニア改善を目的にした術前在宅運動療法プログラムの開発 在宅でのリモートリハビリテーションプログラムを導入リモートリハビリテーションの導入について、患者の自宅におけるインターネット接続環境が無い場合に、タブレット端末(iPad)自体の通信機能を用いて在宅リモートリハビリテーションの導入を行う必要があることが判明したため、今後在宅インターネット接続機能の調整を進める。
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Causes of Carryover |
日本外科学会総会をはじめ、多くの学会が新型コロナウイルス蔓延のため延期あるいはWEB開催となり、当初旅費として計上していた研究費が使用できなくなっ た。また、リハビリテーション部門や外科外来において、患者やスタッフに対する感染防止安全策を行うために、研究補助作業が倍増し、人件費が増加した。ま た外来で対面式の指導が困難となったために、患者の登録をはじめとした研究計画そのものに遅延が生じ、現在在宅リハビリテーションプログラムの導入も検討 中である。以上よりやむを得ず次年度使用額として研究費を計上させて頂くこととなった。
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