2022 Fiscal Year Research-status Report
Galectinファミリーによるサルコペニア評価法・リハビリテーション法の開発
Project/Area Number |
22K11444
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
榎本 剛史 筑波大学, 医学医療系, 教授 (10628762)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小田 竜也 筑波大学, 医学医療系, 教授 (20282353)
大和田 洋平 筑波大学, 医学医療系, 講師 (00819584)
大原 佑介 筑波大学, 医学医療系, 講師 (90757791)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | サルコペニア / リハビリテーション / 高齢者 / がん / 手術 / 身体機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、Galectinファミリーによるサルコペニア評価と周術期リハビリテーション法の確立である。2022年度は75歳以上の消化器がん手術をうける高齢者に対し、周術期身体機能変化と手術治療成績を検討した。 2020年4月から12か月間に筑波大学附属病院で、消化器がんに対する切除術を受けた75歳以上の高齢者80人を対象。サルコペニアはAGWG2019の基準で診断、骨格筋量はL3レベルのSkeletal muscle indexを用い、身体的機能評価には上肢は握力、下肢はSPPBを用いてサルコペニア群(S群)と正常群(N群)を比較した。S群とN群ではそれぞれ(17例、63例)で、年齢は (中央値80歳 vs 78歳: P=0.03)。SMIは(cm2/m2)は(41.0 vs 34.6: P<0.01)、身体機能は、握力(kg)が(23 vs 27 P=0.11)。SPPBスコア は(10 vs 11: P=0.04)、4m歩行テスト(秒)は (5.1 vs 4.1 P<0.01)、立ち上がりテスト(秒)は (11.6 vs 10.7: P=0.01)。Grade3以上の術後合併症発生率は(4% vs 15%: P=0.02)。術後6か月おける死亡率は(17.6% vs 7.9%: P=0.23)。術後6ヶ月時点での身体機能は、握力(kg)は(25 vs 23: P=0.23)。SPPBスコアは(9 vs 10: P=0.05)、4m歩行テスト(秒)は(6.1 vs 4.3: P<0.01)、立ち上がりテスト(秒)は(12.9 vs 11.8 P=0.35)。 サルコペニア群は術後半年でも下肢筋力が有意に低下し死亡率も高かった。サルコペニア患者は術後身体機能保持を考慮した手術法やリハビリテーションが必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
消化器がんの手術をうける75歳以上の高齢者について周術期サルコペニア発症高リスク群と周術期リハビリテーションの適応となるグループが抽出できた。既存のサルコペニア評価方法である骨格筋量測定や身体機能評価は、入院時から外来で測定する方法を院内で確立することもできた。 一方、術前から3か月毎にSandwich ELISA法により血清LGALS1/Galectin1を定量的に測定する点と、MRI-T2強調画像,1H-MRS法などで筋肉内脂肪量も測定し、CTで得られた骨格筋量から減算することで正確な骨格筋内骨格筋量とする点については進んでいないことから、概ね順調に経過しているという区分とした。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は周術期サルコペニア発症高リスク群と周術期リハビリテーションの適応となるグループに対しSandwich ELISA法により血清Galectin-1,3を定量的に測定し、その経時的変化について検討する。周術期に効果的なリハビリテーションプログラムの開発のために、さまざまな運動強度による周術期リハビリテーションを行い、経時的に血清LGALS1/Galectin1を測定する。リハビリテーションは、術後の手術侵襲の観点から、周術期を術前から手術まで(2週間)、術後から退院まで(2週間)、退院後1か月以降の3期に分け、血清Galectin-1,3と、骨格筋量,身体機能の経時的変化の相関を検討する。 同時に患者背景・病期・疾患別・手術術式、術後合併症などの短期手術成績と長期生存率をと比較し、術前Galectin-1,3値による周 術期サルコペニア予防の対象患者とリハビリテーション介入の必要性、手術成績と関連を明らかにする。
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Causes of Carryover |
2022年度は臨床データーを中心に研究を概ね順調に進めることができたため、試薬等が計画よりも少ない使用量となったため次年度使用額が生じた。 次年度ではSandwich ELISA法により血清Galectin-1,3の測定や、骨格筋老化マーカーとして皮膚から簡便に測定できるAGEとの関連も検討する予定であり、それらに使用する関連機材や消耗品に使用する予定である。
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