2022 Fiscal Year Research-status Report
生地の通気性に由来する流体力学効果に基づく高性能スキージャンプスーツの研究
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22K11468
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
長谷川 裕晃 宇都宮大学, 工学部, 教授 (90344770)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 正秀 筑波大学, システム情報系(名誉教授), 名誉教授 (40111588)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 生地通気性 / 揚力 / 抗力 / 翼型 / 風洞試験 |
Outline of Annual Research Achievements |
翼型模型を使用した風洞試験で、巻き付けた生地の通気量の違いにおける空力評価を行った。さらに、先行的に実施していた楕円柱模型を使用して得られた通気量の違いでの空力特性との比較も行った。使用した翼型は、NACA系列の翼型で、前縁失速型のものを選んだ。これにより迎角増加時と減少時の空力係数曲線のヒステリシスについても確認した。
揚力係数では、いずれの通気量の生地においても、迎角増加時の失速角と減少時の失速回復角が異なり、揚力曲線でのヒステリシスループは時計回転となった。このヒステリシスの大きさは、通気の有無も含め生地の通気量での違いはほとんど確認できなかった。通気性がヒステリシスに与える影響は、楕円柱模型では不明だったため、翼型を使うこと評価が可能となった。失速角については、生地に通気があることで大きくなっていた。さらに、通気量が増えることで失速が遅れた。この傾向は楕円柱での結果と同じで、通気量が大きくなり過ぎた場合は、失速が早まるという傾向も類似していた。 一方、抗力曲線のヒステリシスループは、揚力とは正反対の方向になる。抗力係数の値は、生地に通気があることで小さくなる。通気量が増えることでの抗力係数の低下は、特に失速後の迎角で顕著であった。こうした失速前の迎角において、通気量の違いで抗力係数にあまり差が出なかったのは、楕円柱の際は確認できなかった。これは、翼型の場合、楕円柱と異なり全抗力にに占める割合のうち摩擦抗力の方が支配的となるためである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
生地を巻き付けて空力評価が可能な翼型模型の製作に成功し、風洞試験を実施して、誤差評価も含めた状態で空力データの取得ができ、成果に関して学会での発表も行えたことから、ほぼ計画通りと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、通気量の増加で失速遅れが生じ翼性能(揚抗比)が向上する理由を、流れ場を調べることで明らかにしていく。その結果をもとに、通気量の違いが生地表面の境界層へ及ぼす影響を、他の模型の使用も含め検討していく。 他の模型としては、失速特性の異なる翼型あるいは生地表面の境界層の発達の評価が可能な厚板平板を候補として検討する。流れ場の評価としてはPIV(粒子画像流速測定法)を用いる予定である。ただ、生地表面のハレーションの影響が問題となることが予想されるので、反射光を抑える工夫、反射光を測定用シート光の波長帯からを変え、カメラのレンズにフィルター(特定波長カット)を付け反射光の影響を排除する方法を試みる。
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Causes of Carryover |
実験系の見直しを行い、それに関連する費用の一部を次年度使用の計画としたため。
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Research Products
(5 results)