2022 Fiscal Year Research-status Report
ヒト骨組織酸素動態の非侵襲的かつ定量的評価法の開発
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22K11479
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
木目 良太郎 東京医科大学, 医学部, 講師 (90366120)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 骨組織 / 骨代謝 / 近赤外線分光法 / 超音波刺激 |
Outline of Annual Research Achievements |
骨組織は他の臓器と比べて著しく代謝回転が低いため、不活動などで骨リモデリングが低下しても実際に骨量の低下として検出されるには数ヶ月の日数を要する。従って、量的変化に先制して骨組織の代謝異常を検知できれば、骨量の低下を早期に予防でき、骨の健康維持増進に貢献できると考えられる。近赤外線時間分解分光法(TRS)装置は、組織酸素濃度や血液量の定量的計測が可能である。 そこで2022年度は、TRSプローブを脛骨上に装着し、膝上に巻かれたマンシェットを加圧することで動脈血流を遮断し、遮断時における酸素化ヘモグロビン(Oxy-Hb)の低下率から骨組織酸素消費量(bone VO2)を定量的に計測した。陸上選手の専門種目(短距離、長距離)の違いや性差、加齢によるbone VO2の差異について、現在予備的にデータを集めているところである。また、2022年度はbone VO2の介入方法についての検討も行った。骨組織への物理的負荷を定量的に実施したいので、当初は筋力トレーニング機器を用いたレジスタンス運動による物理的負荷を候補として、予備実験を実施した。しかしながら、例えば性差や加齢によるbone VO2の差異を計測する際に、レジスタンス運動を相対的負荷で標準化した場合、男女間や世代間で絶対的負荷が大きく異なるため、更に予備実験が必要となる。そこでまず始めに、超音波装置による物理刺激がbone VO2に与える影響について検討し、その超音波刺激によるbone VO2の変化に対して性差や加齢がどの程度影響を及ぼすか検討することにした。2023年度はその準備からスタートする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「研究実績の概要」でも述べたが、骨組織酸素消費量(bone VO2)の介入刺激を決定するのに時間を有したことが挙げられる。また、新型コロナウイルス感染症の蔓延により、ヒトを対象とした実験に大きな制限がかかってしまい、予備実験の日程が大幅に遅れてしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
超音波刺激装置を購入後、骨組織への物理刺激のプロトコールを確立させるための予備実験を早期に実施する。実験方法が確立された後、医学倫理審査会に申請書類を提出する。医学倫理審査会からの許可が得られた後、速やかに実験を開始する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の蔓延により、ヒトを対象とした予備実験に大きな制限が生じてしまい、実験予定が大幅に遅れてしまったため、次年度使用が生じた。次年度の計画としては、実験器具の購入、被験者への謝金、英語論文の校正料に使用する予定である。
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