2023 Fiscal Year Research-status Report
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22K11482
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
赤間 高雄 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 教授 (60212411)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲井 勇仁 東北文化学園大学, 現代社会学部, 助教 (80973990)
枝 伸彦 獨協医科大学, 医学部, 講師 (50711181)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 唾液 / 脱水指標 / スポーツ選手 / 子ども |
Outline of Annual Research Achievements |
唾液試料を用いて脱水の程度を客観的に評価できる可能性が報告されている。しかし、先行研究は実験室内での検討にとどまり、実際にスポーツを行っている競技スポーツ選手や熱中症の罹患が問題視されている子どもへの応用までには至っていない。そこで、2023年度は実際のスポーツ現場において、運動前後に採取した競技スポーツ選手や子どもの唾液が熱中症の予防に有益な脱水指標となりうるかを検討することを目的とした。2023年度はトライアスロン競技選手10名を対象に、約2時間のトライアスロンレース前後に刺激唾液を採取した。その結果、レース前からレース後にかけて尿比重が増加し( p < 0.01)、それに伴って唾液流量の減少と唾液浸透圧の増加が認められた( p < 0.01)。本結果から、唾液流量や唾液浸透圧が脱水指標として有効である可能性が推察された。一方で、地域のサッカークラブに通っている小学生12名を対象に90分間のサッカーの練習前後に刺激唾液を採取した研究では、練習前から練習後にかけて尿比重が上昇したものの( p < 0.01)、唾液流量や唾液浸透圧に有意な変化は認められなかった( p > 0.05)。唾液流量や唾液浸透圧の変化の違いについて、トライアスロンレースの方が小学生のサッカーの練習と比べて尿比重の増加量が大きかったことも一因と考えられるが、運動強度や時間、年齢の影響も含めて詳細な検討が必要である。2024年度は熱中症の罹患リスクの高い高齢者を対象者に加えた検討を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度は夏季に予定していたトライアスロンの大学競技選手およびサッカーのジュニア競技選手を対象とした唾液採取実験を実施することができたため、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度はアスリートおよびジュニア競技選手を対象とした唾液採取実験を実施した。2024年度は熱中症の罹患リスクの高い高齢者の唾液を用いて、成人の唾液と比較しながら脱水指標として有用な新たなバイオマーカーの検出を検討する。唾液内成分は血液内成分よりもその濃度が低い傾向にあるため、唾液の濃縮方法を検討した上で測定キットを用いて解析を進める。また、所属機関への研究倫理申請に向けて準備を進めている。唾液中バイオマーカーの測定経験が豊富な研究者を研究分担者に追加していることから、最終年度である2024年度も各種測定を加速させていく予定である。
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Causes of Carryover |
2023年度に採取した唾液の解析を終えることができなかったため、2024年度に消耗品や解析者の旅費の使用が生じた。また、2024年度は成人および高齢者の唾液を採取し、唾液脱水指標として有用な新たなバイオマーカーの検出を検討する。そのため、実験実施に向けて唾液採取および解析に必要な消耗品や測定キットの購入、研究対象者への謝金などに研究費を使用する予定である。
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