2022 Fiscal Year Research-status Report
食品成分によるX型ACTN3遺伝子リードスルー翻訳の可能性
Project/Area Number |
22K11499
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Research Institution | The University of Shimane |
Principal Investigator |
原田 永勝 島根県立大学, 看護栄養学部, 教授 (40359914)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ACTN3 / リードスルー翻訳 / 遺伝子多型 / スポーツ / 食品成分 / α-アクチニン3 / ポリアミン / プラスミド |
Outline of Annual Research Achievements |
ACTN3遺伝子は速筋線維のα-アクチニン3タンパク質をコードする。ACTN3にはR型とX型の遺伝子多型が存在する。X型ACTN3のmRNAは、異所性の翻訳終止コドン(PTC)で翻訳が停止し分解されるため、X型のみ有するXX型のヒトではα-アクチニン3が発現しない。様々な人種でXX型は、スポーツとくに走る競技で不利になると考えられている。本研究では、食品成分を用いたリードスルー翻訳(PTCの読み飛ばし翻訳)の効果によってX型ACTN3遺伝子からα-アクチニン3タンパク質が発現する可能性について明らかにする。実験には、①リードスルー翻訳レポーター遺伝子(ルシフェラーゼ遺伝子にPTCを導入したもので、リードスルー翻訳が起こると全長ルシフェラーゼが発現し活性を示す)の発現プラスミド、および、②外来性にヒトX型ACTN3遺伝子を発現させるためのプラスミドを使用した。これらを培養細胞に導入し、食品成分であるポリアミン(spermine,spermidine)を培養液に添加した。結果、①を導入した細胞では、spermineあるいはspermidineの存在下でルシフェラーゼ活性の上昇がみられたが、その程度は大きいものではなかった。②を導入した細胞の抽出物を用いて、外来性のα-アクチニン3タンパク質の発現をウエスタンブロット法で解析したところ、ポリアミンのリードスルー効果による全長のα-アクチニン3タンパク質の発現は検出されなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
細胞培養用のCO2インキュベーターが故障し、細胞培養ができない期間が生じたため当初の予定からやや遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
外来性にリードスルー翻訳レポーター遺伝子あるいはヒトX型ACTN3遺伝子を発現するプラスミドを導入した細胞に、ポリアミン以外の候補成分を作用させ、リードスルー翻訳効果が得られるか否かを明らかにする。リードスルー効果が確認できた場合、リードスルーによる全長のα-アクチニン3タンパク質の発現が筋細胞に及ぼす影響について検討する。
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Causes of Carryover |
[理由]年度末に細胞培養用のCO2インキュベーターが故障し、一部の細胞実験ができない期間が生じた。本年度研究費の一部を次年度に繰り越し、当該実験を次年度に行う。 [使用計画]次年度に、細胞実験用の試薬や各種消耗品(培養ディッシュなど)を購入する。研究の展開状況に合わせて、分子生物学・生化学実験に関連する試薬や消耗品を購入する。
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Research Products
(1 results)