2022 Fiscal Year Research-status Report
女性の健康障害に関与する鉄代謝と酸化ストレスに着目した最適な運動方法の提案
Project/Area Number |
22K11509
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Research Institution | Toin University of Yokohama |
Principal Investigator |
林田 はるみ 桐蔭横浜大学, スポーツ健康政策学部, 教授 (40460399)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 月経周期 / 酸化ストレス / 抗酸化力 / 女性ホルモン / 鉄代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では、一般女性の性周期に伴う鉄代謝と酸化ストレスの変動と、女性アスリートのホルモン動態および鉄代謝・酸化ストレスの状態について評価を行い、女性の鉄代謝の特徴と運動時の生理応答(パフォーマンスと月経関連症状)について、正常月経を有する一般女性と女性アスリートで比較検討を行うことを目的としている。 日本人の鉄欠乏性貧血の頻度は、閉経前の女性に限れば5人に1人であり、さらに潜在的な鉄欠乏状態については、女性の約半数にも上るとされている。成人女性の場合は、月経により男性よりも鉄欠乏状態になりやすく、また、やせ願望による食事制限などにより鉄不足に陥りやすい。特にアスリートの場合は、トレーニングによる衝撃や筋損傷による溶血も鉄不足を引き起こす要因となる。このように女性アスリートは、潜在的な鉄欠乏状態にある可能性が高いことから、鉄代謝の状態をモニタリングし、不足している場合には適切な対策をとる必要がある。 今年度は、正常月経を有する若年女性の、鉄代謝・酸化ストレス度が性周期によって異なるのかを検討した。健康な女子大学生を対象に、月経周期の4つの時期(月経期、卵胞期、黄体前期、黄体後期)ごとに安静時の血液を採取し、酸化ストレスレベル(d-ROMs)と、鉄代謝指標としてフェリチンを測定した。さらに黄体前期のフェリチンレベルに基づいて鉄欠乏群(<12 ng/mL)と非鉄欠乏群(>12 ng/mL)に分け、酸化ストレスレベルを比較した。その結果、酸化ストレスは月経期に最も高く、その後徐々に低下した。フェリチンレベルは月経周期による変動は認められなかった。黄体前期のフェリチンレベルに基づく比較では、鉄欠乏群は非鉄欠乏群よりも月経期の酸化ストレスが高い傾向が認められたことから、鉄の貯蔵量が少ないほど酸化ストレスが高まる可能性があることを示した。 本研究成果については、国際学会で発表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は正常月経を有する若年女性および若年女性アスリートの、鉄代謝・酸化ストレス度が性周期によって異なるのかについての検討を行い、当初の予定通り進めることができた。
以上の理由から「2: おおむね順調に進展している」を選択した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究成果については、国際学会において研究成果の発表を行う予定である。さらに、今後は、運動負荷時の鉄代謝・酸化ストレス応答に性周期が及ぼす影響についての検討を継続実施する。
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Causes of Carryover |
次年度の国際学会での発表が決定したため必要な渡航費を捻出できるように使用額を調整した。次年度に繰り越して旅費として使用する予定である。
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