2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K11516
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Research Institution | Kobe Design University |
Principal Investigator |
古賀 俊策 神戸芸術工科大学, 芸術工学部, 名誉教授 (50125712)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥島 大 大阪国際大学, 人間科学部, 講師 (70735307)
小野 弓絵 明治大学, 理工学部, 専任教授 (10360207)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 筋肉の温度 / 活動筋局所レベルの酸素消費動態 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在まで、異なる筋温条件下においてヒトの活動筋局所レベルの酸素消費(VO2)を明らかにすることは困難であった。そこで、活動筋局所レベルのVO2と酸素供給(QO2)を個別にかつ非侵襲的に計測する方法を採用して、異なる筋温条件下における運動開始時の酸素不足発生の仕組みを調べた。方法:水灌流チューブを用いて前腕部を加温(水温43度、H)および冷却(水温10度、C)して一定強度の掌握運動を行ない、常筋温条件(水温34度、N)における生理応答と比較した。拡散相関分光法(DCS)を用いて活動筋局所の血流速度(BFI、つまりとQO2)を計測した。さらに、近赤外分光法(NIRS)を用いて、VO2に対するQO2のバランスを反映する脱酸素化ヘモグロビン濃度(HHb)を計測し、VO2の応答(rMRO2)を推定した。 結果と考察:運動終了時における筋肉のrMRO2は温度条件間に差がなかったことから、異なる温度環境であっても有酸素性代謝が一定率を保って機能することが示唆される。しかし、運動開始直後から終了時までのrMRO2の応答速度(時定数)はC条件で大きくなる傾向にあった。一方、N条件とH条件のrMRO2の時定数に有意な差がなかった。このことから、運動中における酸素消費の応答速度は筋温度の上昇には影響を受けないが、低下には影響されることが示唆された。筋肉温度の低下にともなう筋毛細血管血流量の減少と無酸素性代謝の増加が酸素消費の応答速度を遅延させて、筋疲労の誘因となる可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒトの活動筋局所レベルのVO2とQO2を個別に計測する方法を採用して、異なる筋温条件下における運動開始時の酸素不足発生の仕組みを検討することが可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
異なる筋温の条件下において、VO2応答の不均一性(部位差)が明らかにされていない。そこで、複数の筋肉間、あるいは同一の筋肉内における活動筋局所レベルのVO2とQO2を計測する。
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Causes of Carryover |
直接経費に残金が生じたので、次年度に繰り越した。 筋肉の収縮・弛緩時には赤血球移動によるアーチファクト・ノイズがBFIデータに混入することが観察された。そこで、信号ノイズの除去処理ソフトを開発するために、次年度予算を使用する。
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